今昔とんでも物語【54】噓泣きの女


平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。今回は、色々勘繰りたくなるお話です。
デビルマンも驚く地獄耳(29巻14話)
雑なストーリー①・昔、ある天皇の御世の事です。ある夜、天皇が役人を呼びつけ言いました。「東南の方角から女の泣き声がするから調べてきてよ」と。役人は警備の者を従えて女の泣き声を探しに行きましたが、どうにも泣いている女は見つかりませんでした。
雑なストーリー②・役人が戻り天皇に報告しますと天皇は「もっとよく探せ」と仰います。どんどん探して歩くと御所からかなり離れた所で泣いている女を発見しました。
雑なストーリー③・また戻りそのことを報告しますと天皇は「その女を捕らえて連れて戻れ」との事なので役人は女を連れて帰ります。すると天皇は「その女は悪い企みのある女だからよく調べるように」と今度は、今の警察のような仕事をする役人に命じます。
雑なストーリー④・あくる日、役人が女を取り調べます。すると最初は黙っていた女も「私は浮気相手と共謀して昨夜夫を殺したので、悲しんでるふりで泣き続けていたのです」と白状しました。その事を天皇に報告すると天皇は「その女の泣き声が本心と違うものに聞こえたので、何としても探してくるように言ったんだ」と言いました。
雑なストーリー⑤・それを聞いた聞いた人々は「夫を愛人と殺すなんて性格の悪そうな女には気を付けないとな」「そんな遠くの泣き声に潜む本性まで聞きとるとは天皇はタダ者ではないね」と話し合いました。
野式部の雑な感想
この話、へそ曲がりの血が騒ぎます。いっくら高貴なお方だからって無理が過ぎますでしょ。誰にも聞こえない泣き声が聞こえるって、犬笛じゃないんですよ。私の予想ですと、大雑把に言いがかり、役人が該当者が見つからず困り果て、適当に連れ帰って拷問に掛け、責めに耐えかねた女が、あることない事自供したんじゃ、と思ってしまいます。
高貴な方を褒め称える為に多少誇張した美談を語り継ぐのはよくある事なのかとは思いますが、全部本当だったら申し訳ないことです。無実なのに捕まってしまった女性がいなかったことを心から願います。

次回は「今昔とんでも物語【55】」を、お送りします。恋とお経のお話です。
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