今昔とんでも物語【55】元カノに会って死んだ男

呼んどいて読経

平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。今回は、なんとも人間の業を感じるお話です。

呼んどいでお経唱え続ける女!(31巻7話)

雑なストーリー①・昔、京に貴族の男がおりました。その男には素敵な恋人がおりましたが、色々あって会う間隔が空いてしまいどんどん会いづらくなり、疎遠になってしまいました。お互い嫌いになったわけでもないので双方は残念に思っていました。

そんなある日、男が牛車で恋人の家の前を気付かずに通りました。すると用事から戻った、女の家の者が「昔通ってくださった方の車が通ったので懐かしく感じました」と伝えます。すると女は何故か「あの方にどうしてもお伝えしたい事があるからお呼びして」と言い出しました。

雑なストーリー②・男は呼び止められて「あっ、そういえばここ元カノの屋敷じゃん」と思い出し車を戻して立ち寄りました。すると元カノはきちんとした身なりで机に向かってお経を読んでおりました。男は久しぶりに見た彼女に改めて魅力を感じ、ぞんざいな扱いをしてしまった事を後悔し、これからは大事にしよう!と心に決めました。募る思いを彼女に伝えたいのに、元カノはひたすらお経を読み続けるのでした。

雑なストーリー③・「ちょっと、お経もいいけど僕の話も聞いてよ」と男が痺れを切らして言いましても女はお経を読み続けました。そしてお経が終わると数珠を握りしめ、やっとちらりと男を見ていいました。「どうしても最後に一目お会いしたくて…」と。そしてそのままぷつりと音を立てたようにバッタリ息絶えてしまいました。

雑なストーリー④・これには男も、女の家の者もびっくりですが、どうしようもありませんでした。男は自分の屋敷に帰りましたが、病になり、それから数日後に亡くなってしまいました。人々は「男は元カノの霊に憑りつかれ死んでしまったのだろう」と噂しました。

雑なストーリー⑤・「お経を唱えていたから信心を得たのかも知れないが、自分を捨てた男に会って憎しみを思い出し死んでしまったのだろう」と人々は話し合いました。

野式部の雑な感想

なんとも不思議な話です。捨てた男を恨んで呪う女のお話はいくつかありますが、なんだって呼んどいてお経読みまくったのでしょう。これをやられたら、お友達でも許せませんよね。ただ、その時間に男の心の中で様々な思いがよぎったのと同様、女の心の中でも信心と憎悪、愛欲を秤にかける葛藤があったのでしょうか。

でも男性に限った事ではないですが、もう必要なくても自分の手を離れると思うと、途端に惜しくなる心理は浅ましく思います。そんな相手とは手を切るのが正解なのではないでしょうか。

次回は「今昔とんでも物語【56】」を、お送りします。ろうそくの火の中の怪奇現象のお話です。

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今回で2024年の投稿は終わりです。来年も引き続き頑張ります。

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