今昔とんでも物語【57】産女の夜


平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。今回は、恐ろしくも何だか切ないお話です。
鬼退治四天王の肝試し(27巻43話)
雑なストーリー①・昔、ある地方都市で侍が詰所に集まって、夜通しよもやま話などしておりました。その内に怪談話になりました。この近くの川を夜に渡ろうとすると「うぶめ」とゆう女の妖怪が出て、自分の抱いている赤ちゃんを抱けと言ってくるそうなのです。とても恐ろしいので今、あの橋を渡れるものはいないだろう、と誰かが言うと「自分なら渡れるけど」と名乗りを上げる武士がいました。それは後に鬼退治で有名になる武将の四天王の1人の男でした。
雑なストーリー②・「そんなこと口先だけで出来るわけない!」「いやできる!」と周りの者と言い合いになったので男は、渡ったという証拠に川向うの土に自分の矢を刺して戻るから朝になったら確認に行けばいい、と言い残して川に向かいました。
雑なストーリー③・すると詰所にいた三人の若い男達が「出来るもんか。行ってないのに嘘つくかも」とこっそり後をつけて覗いていました。すると男がザブザブと川を渡るのが見えました。みるみる向こう岸に渡り証拠の矢を地面に刺してまた戻って来ました。
雑なストーリー④・すると男が川の半分くらいに来た時、赤子の泣く声と生臭い匂いが漂いうぶめが現れ、男に自分の赤子を「抱け」と言ってきたのです。覗いていた男達は余りの恐ろしさに生きた心地もしませんでした。しかし男は「じゃあ、渡せ」と言い赤子を受け取り、そのまま河を渡り切りました。「返せ」と慌てて追って来るうぶめを振り切り、馬に乗り走らせ、先程の詰所に戻りました。
雑なストーリー⑤・覗いていた男達も後を戻りました。男が先程「できるものか」と言い争いになった者らの所に行き「川を渡って来たぞ。赤子まで持って来たぞ」と赤子を投げ出すと包んでいた布の中からパラパラと葉っぱが落ちました。賭けに負けた者が品物を持ってくると男は「あんな事なんでもない」と受け取りませんでした。後をつけて覗いていた男達から詳細を聞いた者達は、男の勇敢さに驚き、褒め称えました。
「あのうぶめは狐が化けたのだろう」と言うものもあれば「お産で亡くなった女の幽霊ではないか」と言う者もありました。
野式部の雑な感想
この皆でワイワイからの肝試し感、安義橋の鬼の話(今昔物語27巻13話)に途中までとても似てますね。でもこの話はなにか物悲しさを感じます。なぜ、このうぶめは赤ちゃんを抱くように人に言うのでしょう。今以上にお産は命懸けだったでしょうし、命と子供と、子供を育てる夢を奪われた未練から、こういう姿で現れたのでは、生まれた子供を家族に見せて「ほんとに可愛いいい子だね、ようく頑張ったね」と、労ってほしかったのでは、と思うと他人事ながら辛いです。そう考えれば大体の鬼には、許容範囲を超えた苦難に襲われた人間時代があったのかもしれません。

次回は「今昔とんでも物語【58】」を、お送りします。次回は衝撃の結婚のお話です。
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