今昔とんでも物語【61】仙人と足


平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。今回は、またも女人に弱い僧のお話です。
白いふくらはぎに消えた修行(11巻24話)
雑なストーリー①・昔、奈良のお寺で2人の僧が修行しておりました。1人が仙人になり空を飛んで行きました。そのうち、もう1人の僧も仙人となり空を飛んでおりました。しかし川の上を通った時、裾をまくり上げて洗濯している女の白いふくらはぎにドキッとした仙人はたちまち人間に戻り、空から落ちてしまいました。仙人は洗濯してた女と夫婦になり一緒に暮らしました。もう人間なので買い物の受取のサインも「元仙人」と書きました。
雑なストーリー②・ある時、夫婦が暮らす地域に都を造る事になり、元仙人も作業員として駆り出されました。村の人が彼を「元仙人」と呼ぶのを不思議に思った監督係の役人が訳を聞くと「女のふくらはぎを見て仙人から人間に戻っちゃった人なんですよ」と周りの者が答えます。
「へぇー」と思った役人は「一度は修行の成果で仙人にまでなった人だったらまだ、能力残っているんじゃない?その力で木材を山からここまで飛ばして貰えたら、すぐ工事が終わって大助かりなんだけど」と言います。元仙人は「仙人やめてだいぶ経ちますし何の力も残ってやしない、ただの男でございます」と返事しますが、他の監督者の役人も話に加わり「またまたご謙遜~」みたいに食い下がるので、元仙人は「じゃあ一応やってみますね」と答えます。役人達は口では「有難い―尊いーファイテイン!加油!」と言いますが、心の中では「こんの色ボケ男が、出来るもんか」と嘲笑いました。
雑なストーリー③・それから元仙人は1人空き家に籠り身を清め一心に祈りました。それから数日後「あれっ?元仙人がいないよ?」と誰かが気が付き不思議に思っていますと、ある朝、空に暗雲が立ち込め、そのうち大雨が降り稲妻が光りました。その後は空は晴れ渡り、見ると、木材が空を飛び作業場に集まって来たのです。元仙人の力です。役人たちは「元仙人さん、凄い!」と驚き敬いました。
雑なストーリー④・その話が天皇の耳にまで届き、「すごいじゃん」と感心した天皇は元仙人に田んぼを授けました。元仙人はとても喜び、その田から得た収益でお寺を立てました。そのお寺は立派なお寺になりました。
野式部の雑な感想
この話、好きです。この洗濯してた女性もよく元仙人と結婚しましたよね。勝手に足見て勝手に落ちて来た男と。当時の価値観で申し訳なく思ったのでしょうか。
元仙人が所帯を持った後も霊力を使えたのは、勿論長年の修行の賜物なのでしょうが、厳しく禁じられていた女性との関わりを持つ事で心の平静を得たのではないかと思うのです。昔は許されなかったお坊さんの結婚が認められるようになったのも納得できるのでないでしょうか。一見落ちぶれた男がもう一度祈ると奇跡が起こる、まるでヒーローの物語のようです。ただ個人的に役人の性根が気になります。ここまで言う事と思ってる事、違わなくてもいいと思います。

次回は「今昔とんでも物語【62】」を、お送りします。次回からお経と前世と僧にまつわる物語をいくつか続けたいと思います。沢山あるのです。
この記事が少しでも面白い!と思っていただけたら、
応援のクリックをいただけたら嬉しいです!