今昔とんでも物語【65】極楽寺の僧

ビフォーアフター

平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。今回は色々考えさせられるお話です。

衝撃のビフォーアフター‼(14巻35話)

雑なストーリー①・昔、とある大臣が重い病気に罹りました。その大臣が建立した寺で修行している僧がその噂を聞いて「今の自分があるのはみんな大臣のおかげ。今こそ恩に報いる時!」と一念発起していつも精進しているお経を持って大臣の屋敷に朝から押しかけました。

雑なストーリー②・偉い大臣の病気ですから、有名な僧が沢山呼ばれて祈祷をしていました。ですから無名の僧が勝手に来て屋敷の者はキョトンですが、とりあえず屋敷に上がってもらいます。僧は屋敷の下座でひっそりと熱心に念仏を唱えました。

雑なストーリー③・するとお昼過ぎくらいでしょうか。屋敷の者が来て「大臣があなたを呼んでますから来てください」と言います。大臣の寝所に通され几帳のすぐ側に座るように言われます。

すると几帳の垂れ幕をまくり上げ頭を起こして、大臣が僧に意外な話を始めるのでした。

雑なストーリー④・大臣が病気に苦しみながらある夢を見ました。その夢の中で大臣は何人もの鬼に打たれていました。しかしそこに美しい童子が現れ鞭で鬼達を蹴散らしていきます。大臣は不思議に思いその童子に「どうして私を助けてくれたのですか」と聞くと童子は「極楽寺の僧が熱心に祈っているのでそのお経の守護神から大臣を守るように使わされたのだ」と答えます。

雑なストーリー⑤・そこで大臣は目を覚まします。すると病気が楽になっていることに気付きます。そして家の者に「極楽寺の僧が来てる?」と聞くと朝から来て念仏唱えてますと答えたので呼んでもらった、という経緯だったのです。

雑なストーリー⑤・大臣は感謝のしるしに衣装など沢山くれて「お寺に帰って引き続き頑張って」と言いました。僧が大臣の寝所から屋敷を出るまで、先程は「誰?」みたいな冷たい態度で無視した家の者や僧たちから、尊敬のまなざしを向けられました。それは寺に帰っての周囲の態度も同じことでした。

昔から「母の尼君に祈らせるべき」と言われるように、真心を込めて熱心に祈ることが強い力になるのだと、皆感心しました。

野式部の雑な感想

常日頃から感謝を忘れず、非常時には駆けつけて力になる、素晴らしいお話なのは火を見るよりも明らかです。ただいつも通りお勤めしてたら結果、奇跡が起きた、周囲の目が180度変わるのは、本人ちょっと怖いというか人間不信になりそうにも思えます。そして大臣からの褒美の品に衣服があった所を考えますに、着物がね相当年忌入っていたのかなぁとふと思います。へそ曲がり人間としては。

次回は「今昔とんでも物語【66】」を、お送りします。ある動物に救われる僧のお話です。


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