今昔とんでも物語【82】馬の幽体離脱

悪い主

今回は人にあげたものが勿体なくなり、取り返すお話です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。

二言ありの郡司(16巻5話より)

雑なストーリー①・昔、ある地方都市に郡司という役職の男がいました。観音像を作ってもらい毎日拝むことが長年の願いだったので、京まで行き、ある仏師に依頼しました。すると、仏師は三か月後に、素晴らしい観音像を作り上げて持って来てくれました。郡司はとても喜んで、「お礼どうしよう?」と考えて自分の唯一の宝と言える名馬を仏師にあげました。素晴らしい馬を貰って仏師はとても喜び、馬を連れて帰って行きました。

雑なストーリー②・しかしです。時が経つにつれ郡司の心にどす黒い感情が渦巻きます。「あーあの時、観音像を見て思わず馬をあげてしまったけど、お礼にしちゃ過分だったなー凄くいい馬だったのに。ハッキリ言って仏師には不釣り合いなくらいの馬だよ。あの仏師も遠慮して断ればいいのに気が利かないよねー」と後悔し始めたのです。


雑なストーリー③・ついに郡司は家来の男に命じます。「あの仏師の家に行って馬を取り返して来て。それで後からトラブルになると面倒だから仏師を矢で射殺してしまって来て!」と。家来の男は主に言われた通りに実行しました。

雑なストーリー④・郡司は馬が帰ってきて満足でしたが、仏師の周りの人が何も言ってこないので気になりました。そこで同じ家来の男に様子を見てくるように命じます。男が仏師の家に行くと、なんと連れ帰ったはずの馬が敷地の木につながれていたのです。しかも自分の殺したはずの仏師も普通に生きていたので男は慌てて屋敷に帰り郡司に見たままを報告します。

雑なストーリー⑤・「んな馬鹿なー」と馬小屋に行くと馬はいません。二人は恐怖を感じ懺悔しに作ってもらった観音様の所に行くと、像には矢が刺さり血が流れていたのです。あまりの怪奇現象に二人は罪を自覚し、償うために出家して僧になりました。その像は今でも残っているのです。

野式部の雑な感想

一度あげたものを取り返すうえに人まで殺そうとするとは、観音像を作ってもらった甲斐がないですね。でも、自分の判断とは言え後からあれこれ考える事は誰にでもあるかと思います。仏師が予想外に速く像を持ってきたので何の心づもりもしてなくて思わず馬をあげてしまったのです。像の出来も想像を超えて良かったのでしょう。だからこそ、こんな不思議な力を発揮したのかも知れません。それにしても実行犯とはいえ、命令に従っただけの男まで出家するとは、霊体験が怖すぎたか、あるいは主と仲良しだったのでしょうか、と思ってしまいます。

次回は「今昔とんでも物語【83】」を、お送りします。おっかない法師が出てまいります。


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