今昔とんでも物語【86】乱暴者地蔵

驚いた話

今回は本人が一番驚いたお話です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。

地蔵菩薩のお蔭様(17巻2話より)

雑なストーリー①・昔ある所の役人に仕えていた男がおりました。勇猛ですが心がけも悪い乱暴者なのですがどうしたことか、地蔵菩薩が気にかかり、信心するようになりました。とりわけ地蔵菩薩の縁のある日には酒も飲まず女とも遊ばず身を清くして地蔵菩薩を念じておりました。それでも生来の乱暴者なので人と話してる最中でも怒り出したりするのです。そんな男が怒ってる最中でも念仏を唱えることを忘れないので、周りの人は「どんだけ変人なのよ?」と冷笑しておりました。

雑なストーリー②・そんなある日のことです。男がとある小道を歩いていると、見知らぬ僧から話しかけられます。「もしかしてあなた、地蔵菩薩の化身さんですかっ?」そう言ってその僧は涙を流して喜び、何度も男を拝むものですから男は訳が分からず「あんたどうしちゃったの?」と尋ねます。すると僧は泣きながら話し出します。

雑なストーリー③・「昨日の夜、夢の中に地蔵菩薩様が出てきて私に言ったんです。『明日、この道で出会う人が私の化身だからね』と。それであなたにお会いしたんです」そう言われて男は驚きましたがチラッと思いました。「こんな俺だけど一応地蔵菩薩を信心し続けてきたわけだし、この出来事は地蔵菩薩が何かを自分に教えようとしているのかも…」と。

雑なストーリー④・男は僧と別れた後、さらに信心を深くして年を取ってからは出家しました。病になり亡くなりましたが、その際は苦しまず極楽浄土したそうです。この話を聞いて感動の涙を流さない人はいなかったという事です。

野式部の雑な感想

とんでもない乱暴者でも穏やかに生きられるという感動的なお話なんですが、へそ曲がり人間としては、チラッと思います。僧の人違いではないかと。乱暴者の後ろに本物の地蔵菩薩の化身がいたのではないかと。それとしても双方が救われたこの出会いはやっぱり尊い、と言わざるを得ないのです。

次回は「今昔とんでも物語【87】」を、お送りします。とてつもない不調法者のお話です。

先週投稿の日だったのですが忘れたことすら忘れるという、残念なゾーンに入って参りました。万が一、楽しみにして頂けた方がこの世にいらっしゃるとしたら申し訳ございませんでした。


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