今昔とんでも物語【89】下馬しなかったら怒られた

デュバリーとマリー

今回は下馬に関するお話です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。

神主とお地蔵様(17巻11話より)

雑なストーリー①・昔、ある所の神社に神主がいました。この人は地蔵菩薩を信心していました。当時の風習として、馬に乗っている時、自分より偉い人に会ったら馬から降りて挨拶するべきなのですが、神主は僧に会っても仕える相手が違うといいますか、特に馬から降りませんでした。これはこの人が格別偏屈とかではなく、神主はみんなそうしていたのでした。

雑なストーリー②・ある日、神主が馬に乗っている時に若い僧に出会いました。神主がいつもの様に馬の上から「いよっ、今日はいい天気だねぇ」とかなんとか話しかけますと、若い僧は煙のように跡形もなく消えてしまいました。神主は生まれて初めて見る怪奇現象に驚き恐れて神社に戻りました。

雑なストーリー③・その夜、神主の夢に美しい小僧さんが現れて言いました。「今日お前が道で話しかけたのは地蔵菩薩だからね。お前は僧に会っても下馬しないけどね、お地蔵さんはみんな僧の姿かたちをしてるんだし、僧は尊いんだから、地蔵菩薩を信じているなら今後は僧に会ったら下馬しなさいよ。馬に乗ったまま僧に話しかけるなんて言語道断だよ」と。

雑なストーリー④・夢から醒めた神主は、今までの自分の行動に後悔して涙を流しました。そしてそれからというもの、遠くからでも僧の姿を見かけると下馬してからご挨拶したそうです。

野式部の雑な感想

 日本の宗教を考える時、「神仏」とはとても難しく感じます。たぶん、違う宗派でもお互いを尊重しましょう的な事なのでしょうか。神主同士で馬に乗っていて僧に出会ったら片方だけ下馬したら「お前、どうしたの?」みたいになるかと思うのですが。

 ところでイラストは名作「ベルサイユのばら」の話の中で、国王の愛妾に皇太子妃が屈する場面をイメージしました。皇太子妃マリーアントワネットは国王の愛人が元は売春婦と知り軽蔑して無視し続けます。やがてそれはトラブルになるのでした。昔はマリー様に感情移入して読んでおりましたが近頃では、オーストリア王女に生まれフランス王妃になった人に売春婦の悲しみなどわかるまいと思ってしまいます。もちろん自分にもとんだ貧乏くじを引いてギロチン刑になった人の悲しみはわかりません。

次回は「今昔とんでも物語【90】」を、お送りします。お告げを胸に生きる僧のお話です。


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