今昔とんでも物語【90】涙の答え合わせ

バックにお手紙

今回は、死へと向かう旅をする僧のお話です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。

愛宕山に登った僧(17巻14話より)

雑なストーリー①・昔、仏教の修行にもってこいと評判のお寺がありました。そこで長年修行し続けてきた僧がいました。その僧は法華経を精読し特に地蔵尊をひたすらに信心し続けてきました。後世の事が気になってくるお年頃になってきたので、ある日、地蔵尊像の前で「私の命が終わる時に私はどこに居たらいいんでしょうか。教えてくださいな」と祈りました。

雑なストーリー②・すると僧の夢に美しい小僧さんが出てきて言いました。「聞かれたから言うけど、愛宕山の山の峰がいいでしょう。ちなみにお前の臨終の日は24日だからね」と。そこで僧は目が覚めました。そして自分の求める答えを教えてもらった有難さに涙を流して感謝しました。しかし、周囲の僧の弟子達は師が起きたかと思ったら泣き出したのでビックリしました。僧は理由を誰にも話しませんでした。この夢のあらましを紙に書きこっそりしまいました。
雑なストーリー③・その夜に僧はこっそり今まで過ごした山を下りて、お告げで言われた場所に向かいました。数日後、その場所に着き木の下で眠りました。朝になるとその山で修行している僧たちが通りかかり、ソロキャンプしている人がいたので驚きました。色々質問されましたが僧はどこから来たか答える以外は話しませんでした。僧達は「なんか訳ありかしらん?」と思いながらもご飯を出して一緒に食べたりしました。

雑なストーリー④・その月の24日の事です。朝早く僧達が通りがかると、僧が西を向き合掌しながら亡くなっているのを見つけました。ほかの僧達も集まってきました。ふと、亡くなった僧の持ち物の中に一枚の紙を見つけて読みますと、夢のお告げの事が書いてありました。僧達はお告げ通りに往生した僧を尊び、感動の涙を流しながら、供養をしました。本当に不思議なことがあるものだと人々は話し合いました。

野式部の雑な感想

とても良いお話とは思うのですが、自分の死に場所を信仰対象に聞いたら死ぬ日まで教えてくれたという、珍しいケースかと思います。そしてとくに口止めされてないけど、すべてを秘密裏に行うのは心得た僧ならではなのでしょうか。確かに言って回ると支障があるのかも知れません。

次回は「今昔とんでも物語【91】」を、お送りします。人相見が登場します。


この記事が少しでも面白い!と思っていただけたら、
応援のクリックをいただけたら嬉しいです!