今昔とんでも物語【103】穢れなき美少年

去り行く美少年

硯を割った青年の出家(19巻9話より)

雑なストーリー①・昔、京に大臣がおりました。その大臣の娘の一人に桁外れに素晴らしい姫君がいました。案の定噂を聞き付けた帝の妃になる話が決まりました。大臣はここぞとばかり張り切って嫁入り道具の準備をしました。その中でも目玉商品並みに素晴らしい硯があり、それを娘に託せる自分を大臣は誇らしく思いました。


雑なストーリー②・姫君の部屋の前の掃除を任命されている男が屋敷に居ました。実は男は書道を嗜んでおり「そんな素晴らしい硯を一度でいいから一目見てみたい」と思ってました。ある時、支度やなんかで姫君の部屋がからっぽでした。男は「これは硯を見る千載一遇のチャンス!宮中に持ち込まれたら一生拝めない!」と、勇気を振り絞って仕舞ってあった硯を取り出し眺めました。

雑なストーリー③・うっとりと硯を見ているとふいに人の足音がしたので男は慌てて硯を落としてしまいました。硯は真っ二つに割れてしまいました。男は目の前が真っ暗になり身動きも取れずにいました。その足音は大臣の息子である若君でした。若君は男が固まっているのを不思議に思い「どうしたのー」と声を掛けました。男は自分の行く末に絶望して泣くばかり。しかしそこは賢くて可愛い若君、現場を見て事情を察知しました。若君は男に「この硯を割ったのは私だという事にしなさい」と言ってくれました。

雑なストーリー④・大臣が戻り硯の事を聞くと激怒して「帝も楽しみにしてた硯を割るなんてお前は悪魔や。もう親でもなければ子でもない。出てけ‼」と若君に言いました。若君は乳母の家に身を置くことになりました。すると若君はどんどん具合が悪くなり病に倒れました。そして数日のうちに危篤になりました。慌てて両親が会いに行くと若君は亡くなってしまいました。

雑なストーリー⑤・両親の悲しみは大変なものでした。遺体を屋敷に戻して悲しんでいると、数日見かけなかった、掃除の男が喪服を着て大臣の前に現れました。そして硯を割ったのは自分だと伝えました。両親はさらに嘆きました。男は屋敷から姿を消し、出家して若君の後生を弔ったそうです。

野式部の雑な感想

 悲しいお話ですが、昔のアニメ「フランダースの犬」を思い出しました。主人公の少年ネロは名もなく貧しく美しく、儚くこの世を去りましたが「自分の命を守るためにもう少し何とかならなかったのか」と思う所がありました。この若君もいい人ですが正直「自分が割ったなら父親もそんなに怒らないのでは」と言う慢心があったのでは、なんて邪推してしまいます。それにしても人の命より物が重要視される「播州皿屋敷」が平安時代からあったんです。

 そしてお皿、じゃなくて硯を割った男、若君の命があるうちにホントの事、言ってもらいたかったですね。自分をかばってくれた人が死んでしまうなんて辛すぎます。

次回は「今昔とんでも物語【104】」を、お送りします。次回も出家にまつわるお話です。


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