野式部の私の好きな古典BEST10②

双子のような異母姉弟

第9位 とりかえばや

個人的に好きな、心に残った古典作品をベストテン方式で発表していこうとゆう呑気なシリーズです。お気軽に読んで頂ければ幸いです。なお、「古典」の解釈も呑気となっております。

千年前のトランスジェンダー?姉弟の数奇な物語!

かぐや姫ほど有名ではないので、僭越ながらあらすじ的な事を。まっ、ジェンダーに当て込んで言うのなら、男性的な女性と女性的な男性の姉弟(異母姉弟説も)が、交代して生きていると。二人とも優れた人材なのですが、生まれた時の性を偽って生きる事で、様々な問題が巻き起こるのでした。

千年前の同性婚?美しき貴公子、お姉さん

男の子として元気に駆け回る姉。そもそも父親は大臣なので、「そろそろ元服させなよー」と周囲からプレッシャーをかけられます。姉も「宮中で働きたい!」との夢があり成人とみなされる儀式を済ませます。すると今度は「結婚どうすんの」となります。色々のっぴきならない事情で、ちゃっかり結婚してしまうのですが、相手も周囲もお婿さんの事、男性と思ってますから難しい事になって参ります。

一方、弟の方も皇女の侍女的役割で宮中に出仕する羽目になりますが、この皇女とひっそり恋仲になり、生まれた性に戻りたいと思うようになります。

恐怖の連続強姦魔登場で、しっちゃかめっちゃか!

強姦はあってはならないことです。何人たりとも他人に望まぬことを強要する権利はありません。しかし平安時代、夜這いが横行していたのも事実。姉の宮中での友人である貴族の青年が、まず姉の形式上の妻に夜這いをかけ妊娠させてしまうのです。さらに男としての姉にも同性愛的欲望を持ち、襲ったら女で、ちょっとびっくりしたけど、モアベターとゆう事で、なんと姉も妊娠してしまいます。偽装があったからだけど、夫婦の両方を犯すって、「カリギュラ」みたい。

ピンチは唐の秘薬で切り抜ける!日に三寸毛が伸びる!

妊娠に気づいた姉は、仕方なく子供の父親である男の用意した屋敷で出産の準備をします。突如失踪した姉を心配した弟は、ここで生まれた時の性の姿に変身します。こちらは長い髪を切って結い、烏帽子を被ればいいだけですが、姉の方はそうはいかない。長く美しい髪が美人の絶対条件であるこの時代、立派に伸ばすには数年かかります。ここで登場するのが、「毛生え薬」。あっちゅう間に見事に豊かな黒髪を手に入れます。姉の方も産まれた時の性の姿に変身して、子供を産むのでした。

母性の神話への反逆!驚きの脱出劇!

軽く監禁状態だった姉は、多情で不実な男との生活に見切りをつけ、弟と脱出を計ります。見事成功しますが、産まれたばかりの息子は父親のもとに残していきました。苦渋の選択でしたが、男と子供のために不本意な境遇で生き、共倒れになるのを恐れたのでしょう。「母親が子供を置いて出ていくはずがない」とゆう思い込みを逆手に取ったからこその脱出成功でした。姉弟は、お互いの立場を入れ替えます。姉は後宮で帝の寵愛を受け、子供を産みます。そして、帝との子供と、置いてきた子供が、仲良く遊ぶ姿を眺めるのでした。

大冒険の末、愛を知り、大人になる大円満?

性別の倒錯を娯楽的に書いただけの物語と評されることもあるようですが、自分らしく生きたいと願う主人公の行動力と決断力には、感動しました。でも、帝の寵姫となり国母になることは、当時の女性の出世の最高峰でしょうが、それが本人の望む所であったのか。そうであることを願います。

次回は、私の好きな古典、第8位を発表いたします。


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