今昔とんでも物語【56】炎の中の女

炎の女

平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。今回は、怪奇現象のお話です。

謎のダイイングメッセージ?(31巻8話)

雑なストーリー①・昔、内裏で貴人に仕えている、ある女房がおりました。その女は、キュートで性格も良かったので、誰からも好かれていました。夫はいないもののセフレの貴族の男が時々通っていました。

雑なストーリー②・その女が内裏に出仕中の夕刻の事でした。係の者があかりに火を灯しますと、その火の中に、その女に着物の色から何まで瓜二つの女の姿が見えました。皆驚いてその火を見て騒いでおりました。やがて火は消えてしまいました。別の場所にいた本人に、その事を伝えると「やーね、とっとと火を消せばいいのにみんなで見ちゃって、もー」と恥ずかしがりました。本来はそういう事に対する風習があるのですが、その時はそれを知る者がその場に居なかったのでした。

雑なストーリー③・そのうち女は体調を崩し、局を去り、実家に戻ってしまいました。セフレの男は彼女に会いたくて実家まで訪ねて行きました。男は仕事の用事があり、すぐ帰らなくてはいけなかったのですが、彼女の心細げな様子を愛しく感じ泊まって行きました。
雑なストーリー④・明け方になり仕方なく男は女の元を去りましたが、何だかとても気掛かりで途中手紙を出しますと、返事には達筆な字で、ある地名だけが書いてありました。

雑なストーリー⑤・男は仕事もテキトーにして急いで戻り、彼女の実家に行きましたが、家の者は「姫様は、夕べ亡くなって埋葬されました」と答えました。その埋葬場所は彼女が書いてきた地名だったのです。

雑なストーリー⑥・炎に姿が映ったら、蠟燭の火を止めて、その芯を切り落として本人に飲ませて、祈祷をしてもらえば助かったかもしれないのに、それを知る者もなくただ見てるだけなんて残念な話だ、と人々は語り合いました。

野式部の雑な感想

正直、火の中に人が見えるのがよく分からず、洋服の模様まで見えるなんて昔の人は目がいいんだなーと感心しました。そしておまじないみたいな風習があったという事は、時々そういう事があった証拠に思えます。

ただへそ曲がり人間としては、この女房は元々病があり、予感した人々が集団で幻影を見た気がしたのではないかと。また埋葬場所をただ一言書き送ったのは、どんな言葉よりも心に残るかもと思う反面、未来を予測したマウントか、あるいは長文書く気力がもうなかったのか、と色々考えてしまいます。

次回は「今昔とんでも物語【57】」を、お送りします。とある妖怪が出現するお話です。


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