今昔とんでも物語【80】幻の助け船

助け船登場

今回は、世界を渡る信仰心のお話です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。

伝説の川辺の法師・行善(16巻1話より)

雑なストーリー①・昔、1人の僧がいました。仏教を広める使者としてある他国に派遣されたのですが、折悪く、その国は戦争真っ只中、しかも負けそうでした。国の人達は隠れていて誰もいません。僧が敵の兵士に殺されてしまうのではと怯え逃げていると川がありました。何とか渡って逃げようとしても、船も人もなく橋も壊れています。泳げる大きさでもありません。

雑なストーリー②・僧が困って観音様を念じていますと、突然、知らないおじいさんが船を漕いできて「早く乗んなさーい」と言ってくれたのです。僧は喜んで乗せてもらいました。やがて陸に着き降ろしてもらい振り向くと、もうおじいさんも船も跡形もありませんでした。

雑なストーリー③・僧は「あのおじいさんは観音様の化身に違いないわ。ホント有難う。お礼に観音像を作って奉納しますね」と誓いを立てました。

雑なストーリー④・戦争は鎮まりましたが僧は「この国に居てもしょーがないわ」と感じ、唐に渡りました。そこで仏師に弟子入りして観音像を作り、日々供養しました。

雑なストーリー⑤・すると唐の皇帝が、僧を呼び出しました。他の国での観音様のご加護で助かった話を聞きたかったのです。皇帝はその奇跡に感動して帰依してくれました。その後、僧は遣唐使と一緒に日本に帰りました。持ち帰った仏像は今でも日本のお寺にあるのです。

野式部の雑な感想

大変素晴らしい話なのですが、へそ曲がり人間としては気になります。何といってもお一人の時に起こった事ですので証拠的な部分が弱いのですね。これしきを疑うようではそもそも昔話について考える資格はないのでしょうが。たとえば自分が見た夢の話を延々と話す方たまにおりますが、あまりに長丁場になりますと「絶対、今付け足してるな」と思ってしまいます。

次回は「今昔とんでも物語【81】」を、お送りします。次回は胃と歯が強いお坊さんのお話です。


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