今昔とんでも物語【87】不調法者と俊足小僧

走る小僧さん

今回はとにかく不調法者のお話です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。

藤原文時の家の者(17巻4話より)

雑なストーリー①・昔、ある所に由緒正しい家柄の子孫が暮らしていました。その子孫の従者として働いている男の一人がとんでもない不調法者でいつも主人を怒らせていました。ある時、その不調法男はとうてい許されないような失敗をしてしまったのです。ついに主人はカンカンに怒り、勇猛な家来の一人に命じました。「あの不調法者を縛って処刑場に連れて行き殺してこい!」

雑なストーリー②・家来の者は主の言いつけの通りに不調法者を縄で縛り、自分は馬に乗り処刑場に引っ立てて行きました。不調法は自分がどうなるかわかっていたので怯えました。「わー誰か助けて!そういえば今日は地蔵菩薩に縁のある日じゃんか。地蔵様、何とかして~‼」と念仏を一心に唱えながら歩きました。

雑なストーリー③・一方、主の屋敷に三人の僧が訪ねてきました。僧達とティータイムであれこれおしゃべりしているうちに主はうっかり、ある者を殺そうと予定していたことを話してしまいます。すると僧達は青ざめて言いました。「今日は地蔵菩薩様の縁のある日だから絶対殺生は駄目ですよ!」そう聞いて主も恐ろしくなり、家の者に「殺すのを止めてきて!」と命令します。

雑なストーリー④・一方、殺しを命令された家来と不調法者は処刑場に着きました。しかし後ろから大きな声で「その人殺しちゃダメ~ご主人の命令だよ!」と叫びながら走ってくる者がいました。見ると10歳くらいの小僧さんが必死の形相で走ってきたのですが、そのスピードの速さに家来は驚き呆気にとられます。そのうちに、主の使いの者が馬で走ってきました。すると足の速い小僧さんはいつの間にか消えていたのです。家来は処刑を取りやめ不調法者と屋敷に戻りました。

雑なストーリー⑤・不調法者も主も地蔵菩薩に感謝しました。この事があってからこの里の者は誰もが地蔵菩薩を信心し崇め奉ったという事です。

野式部の雑な感想

不思議ないいお話なのですけど、この不調法者さんの不調法がどれほどのものだったのか正直気になります。身分制度の厳しい世の中ですから何の罪がなくても主が望めば殺されますが、もしかしたら罪を聞いた百人中百人が「それは怒られても当然」と思うほどの無神経な迷惑な言動しかしない人物だったのでは、と勘繰ってしまいます。

次回は「今昔とんでも物語【88】」を、お送りします。地蔵菩薩様からいいものを頂くお話です。


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