今昔とんでも物語【84】妻の心、夫知らず


今回は嫉妬から罪を犯してしまう悪人のお話です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。
紀伊の男、僧を罵倒する(16巻38話より)
雑なストーリー①・昔、ある地方都市に好き勝手生きている心根の悪い男がおりました。しかしその妻は、世の中の道理をよく分かっていて、ついでに人が振り向くほどの美人でした。
夫婦の住む家の近所にある尼寺が、法師を招いて「悔過」という法要を行っていたので、妻は夫の罪を償うために熱心に通っていました。
雑なストーリー②・ある日、夫が家に戻ると妻の姿がありません。夫が「俺のワイフはどこ行ったんだ」と家の者に聞くと「お寺で有難い教えを受けに行ってます」と答えました。すると夫の心にどす黒い疑念が渦巻き、激昂して寺に乗り込んで行きました。
雑なストーリー③・そしてお寺で法要を行っている法師に向かって言ったのです。「やいこら!このエロ法師がっ!俺の美人妻にちょっかいだすんじゃないよ!このっ泥棒野郎!」と暴言を吐きました。そしてその場に居た妻の手を引っ張って家に帰りました。
雑なストーリー④・妻は到底それどころではないのに、夫は無理やり妻を押し倒し交わりました。すると、夫は局部に蟻に噛みつかれた様な激痛を感じ悶絶して、その痛みで死んでしまいました。人々は「暴力は振るってないとはいえ、立派なお坊様を罵倒して辱めたからその報いだね!」と話し合いました。夫が命を落としたその理由は観音様の悔過に来ていた人達の邪魔をしたからと言われています。
野式部の雑な感想
怖いお話で、夫は自業自得ですが、ちょっとだけ同情してしまいます。もしかしたら自分には過ぎた妻の存在に疑心暗鬼になっていたのかも知れません。これがそこそこの妻なら「お寺行ってたのよ」と言われても「へー」と思っただけかも。やっぱり妻に愛情があって魅力的だから他の男も狙ってるに違いない、と思ったのでしょうし。
昔話では過分な妻がいる夫が苦難を受ける話があります。「絵姿女房」などまさにですね。妻が夫の所有物、と言う価値観に基づいているのでしょう。

次回は「今昔とんでも物語【85】」を、お送りします。次回から数回ですが「お地蔵様」に関するお話になります。
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