今昔とんでも物語【53】乳母が2人


平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。今回は、屋敷で起こった怪奇事件です。
平安時代の大岡裁き?(27巻29話)
雑なストーリー①・昔、京に住む役人である貴族の館での出来事です。貴族の男が在宅している時に、乳母が屋敷の奥で幼い若君を遊ばせておりました。突然、奥から叫び声と子供の泣き声が聞こえて来たので、男は何事かと慌てて太刀を持って駆けつけました。
雑なストーリー②・すると何と、全く同じ姿形の乳母が2人、左右から若君の腕を引っ張っていました。若君も泣いています。男は驚きながらも「どちらかの乳母は狐か何かが化けた者だろう」と考え太刀を抜き駆け寄ります。
雑なストーリー③・すると乳母の1人が消え去り、残った乳母と若君は気絶してしまっています。男が祈祷師を呼び加持祈祷してもらうと、やがて2人とも意識を取り戻します。
雑なストーリー④・男が乳母にいきさつを訪ねますと乳母は「若君を遊ばせていたら知らない女が現れて若君を連れ去ろうとしたので、さらわれまいと慌てて自分も若君の腕をひっぱりました。そこに殿が来られて太刀を見せたのでその女は消え去りました」と話しました。
雑なストーリー⑤・男は怖ろしい事だと思いました。あれは何だったのか。狐?人のあまりいない屋敷の奥の方で子供を遊ばせてはいけないと言われています。
野式部の雑な感想
以前、妻が2人になった話がありました。それに似ています。しかし何より気になるのは、現れた者が男から見ると、乳母と同じ姿かたちなのに、乳母からは「知らない女」に見えたところです。目的は子供をさらう事なら、同じ姿に化けた方が相手が動揺するのではないかと思うのですが。どのみち若君奪われそうになったら動揺しますが。実はこれは乳母の自意識の問題ではないかと。自分の思う自分の姿と、人から見たその人の姿が、かけ離れているのではないでしょうか。なんて考えてみるのも楽しいものです。

次回は「今昔とんでも物語【54】」を、お送りします。嘘泣き疑惑の女性が登場します。
この記事が少しでも面白い!と思っていただけたら、
応援のクリックをいただけたら嬉しいです!