今昔とんでも物語⑤


平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回は、夫婦のトラブルが生死にまで関わってくるとゆうホラーなお話です。
命ギリギリ!恐怖の一夜! -死霊になった妻-
ストーリー①・昔、ある男が長年連れ添った妻を、ポイっと捨てました。身寄りもすでにない妻はたちまち困窮、荒れ果てた廃屋を見つけ住み着きます。そして、何の落ち度もないのに突然捨てられた事を恨み、病になり死んでしまいます。弔う人もないまま放置された死体が、なんといつまでも経っても朽ちないと、偶然見かけた近所がざわつきます。その噂を聞きつけた元夫は顔面蒼白。陰陽師の元に駆け込みます。
ストーリー②・陰陽師は「大変な事例だけどやってみよう」と助けることを承諾します。夕方に、元妻の亡くなった廃屋に、元夫と一緒に行きます。そして、やっぱりあった元妻の遺体をうつ伏せにして、元夫に「元妻の背中に乗り、髪をしっかり掴んでいろ!どんな事があっても離したらいかんで!」と指示します。恐ろしい事この上ないけれど、元夫は言われた通りにします。陰陽師は「んじゃ頑張れや、明日の朝また来るよ」と帰って行きます。
ストーリー③・夜になると、やっぱり元妻の遺体が動き出します。そして何と「あいつを殺しにいかなくっちゃ。でも何かやけに背中が重いねぇ」と言いながら、元夫を探すために、どんどん歩きだすのでした。
ストーリー④・朝、陰陽師が廃屋に行くと、元夫は、動かなくなった元妻の背中に乗ったままでした。陰陽師は「よく頑張ったね、もう大丈夫だ」と声を掛け、元夫と廃屋を後にしました。
野式部の雑な感想
「背負った子を三年探す」とゆうことわざを思い出すお話です。近くにあるものに気が付かないたとえなのでしょうが、好きです。3年背中に居たら、大きくなるし喋れるようになるだろ、とかご飯どうなるとか色々考えてしまいますが、確かに背中は死角なんですね。この話も、死霊の頭の後ろで、自分を殺そうとあちこち行く元妻を見るとゆう恐ろしい状況ですが、おそらく、この場所以外のどこに逃げ隠れしても、見つかって殺されたのではないかと思います。この陰陽師は優秀ですよね。そして元夫も、自業自得とはいえ、この恐怖をよく耐えたと思います。だから死なずに済んだのではないでしょうか。
しかしその反面、夫に捨てられて身内もいなければ餓死するしかない、当時の女性の社会的立場が、よく分かる話でもあると思います。自分に捨てられたらどうなるか、わかっていて捨てる男に、死霊にでもならなければ復讐できない女の悲しみも感じます。でも、いくら背中が重くても、憎き元夫がどこを探しても居なくても、まさか自分の背中に乗っているとは夢にも思わなった事でしょう。

恐怖のワンポイント・アドバイス
「今昔物語」の各話のラストに、語り手の一言があります。教訓的な「こうしたら、こうなるよ」みたいな事なのですが、時々現代の価値観では受け入れがたいような、恐怖の一言もあるのです。しかし今回は、この元夫も、陰陽師も子孫がいるよ、とゆう報告の一言でした。次回は「今昔とんでも物語⑥」をお送りします。
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