今昔とんでも物語㊵「鬼と琵琶」
平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回は、名楽器を巡るお話です。
返って来た高飛車琵琶
雑なストーリー①・昔、ある帝の所有している、「玄象」とゆう素晴らしい琵琶が、無くなってしまいました。帝は「どーしよ、僕の代で皇室の宝を紛失してしまうなんて。もし僕が気に入らない人間が盗んだんなら、もう壊されちゃってるかも……」と、嘆き悲しみました。そんな時、楽器の名人である、貴族の役人も、素晴らしい琵琶が、無くなってしまった事を残念に思っていました。ある夜、その役人が宿直で皇居にいますと、どこからか、琵琶の音色が聴こえてきました。
雑なストーリー②・「えっ?この音色は玄象じゃね?」と、思った役人は、その音色を辿るように、夜の道を歩いていきます。すると、ある門の上から琵琶の音色が聴こえます。役人は「こんな所から聴こえてくるなんて、こりゃ鬼の仕業に違いない」と思い、音の方に声を掛けます。
雑なストーリー③・「ねぇ、誰が弾いてるの?その琵琶が無くなって、帝がえらい困ってんだけど?自分は音色聴いてここまで来たんだけど」
すると、琵琶の音色が止まって、今度は上から何かが降りてくる気配がしたので、役人は驚きながらも見てみると、なんと、琵琶の玄象が縄に掛けられ、降りて来たではありませんか。役人は、おっかなびっくりながら、琵琶を受け取り、皇居に持ち帰り、帝にお返ししました。
雑なストーリー④・「え~鬼が持って行ってたんだぁ」と帝は言いました。人々は、琵琶を取り返した役人を、褒め称えました。この琵琶、玄象は心があるといわれており、下手くそが弾こうとしたり、手入れが不十分だったりすると、腹を立てて音を出さない、と言われています。火事の時など、勝手に動いて避難したそうです。
野式部の雑な感想
当時の貴族社会は管弦が盛んであり、様々な楽器の練習をしておりました。
この話が鬼の話かとゆうと、誰も姿を見ていないのですが、かなり高飛車な心を持つ琵琶が、みすみす盗まれてみすみす弾かせるのが不思議です。正直皇居と持ち主に飽きて、テクニシャンの弾き手の元に身を寄せたのではないかと。そして、戻る時の迎えは、管弦の名手でないと許さないとゆう、厳しい世界の物語ではないかと、思います。
琵琶で思い出すのが、「平家物語」の、琵琶の名手、平の経正です。自分が稚児勤めしていた、お寺の当主から頂いた、有名な琵琶を返しに行きました。これから戦に行くので、大事な琵琶が壊れたりしたら大変だから、と言うのです。生きるか死ぬかの瀬戸際に、どうでもよく思ってしまうのですが、名楽器は国の宝なのですね。平家の行く末は皆様、ご存知の通りです。
次回は「今昔とんでも物語㊶」を、お送りします。悲しい鬼のお話です。
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