今昔とんでも物語㊽「鬼に吸われた妻」
平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。今回は、またも、お化け屋敷のお話です。
扉の向こうから伸びる魔の手!
雑なストーリー①・昔、お金で官職を買うために、東国から京に出て来た男がいました。「あたしも行く!」と、妻も、ついてきましたが、トリバゴの手違いで、泊まれる宿がありません。困っていると、ふと、人の住んでいない屋敷があり、知り合いが管理していると知って、頼んで泊まらせてもらう事にしました。お供の者達と何とか、泊まれるようにして休みました。
雑なストーリー②・その屋敷で、数日後の夕暮れ頃、ふと、部屋の奥の扉が開いたので、向こうに誰かいるとだろう、と男が思っていると、何だか分からない手が出てきて、扉の側にいた男の妻の手を掴んで扉の向こうに引きずり込んだのです。扉はバタンと閉まりました。男が慌てて、扉を開けようとしたが全然開きません。別の場所から妻を取り返そうとしても、どこも開きません。何をやっても駄目なので、困り果てた男は、走って近隣の住民に事情を話し、助けを求めました。
雑なストーリー③・大勢の人が来てくれて、屋敷の周りなど調べましたが、やはり奥には入れません。そのうち日も暮れて来たので、こうなったら、と斧とかで扉をたたき割って中に入りました。
雑なストーリー④・奥を見てみると、そこには、外傷はないのにカラカラに干からびて死んでいる妻が、棹のような木の棒に吊るされていたのです。人々は驚き「鬼が吸ったんだ!」と言い合いました。男は妻が死んでしまったし、恐怖で地方に戻りました。よく知らない屋敷に泊まるものではないと、人々は戒めました。
野式部の雑な感想
この屋敷は、他の話にも出てくるほど有名なお化け屋敷でした。それにしても、「吸われた」って命に関わる時には、恐ろしい言葉です。不慣れな場所での非常事態は本当に辛いと思います。本人の恐怖は並大抵ではなかったでしょう。ただ、姿を見ていないのに「鬼の仕業」となる話が割とありますね。たぶん鬼に関しては、はっきりくっきり姿を現す者の方が少ないようです。
次回は「今昔とんでも物語」㊾を、お送りします。色々驚く話です。
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