今昔とんでも物語㊺「宰相の新居」
平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回は、ちょっぴり可愛い鬼が出てきます。(今昔物語27巻31話より)
お化け屋敷の大家さん
雑なストーリー①・昔、京に「宰相」とゆう偉い役職の人がいました。その人は博識で知恵があり、陰陽道もできる立派な人でした。その宰相が、ある時、ある屋敷を購入しましたが、そこはなんと、荒れ果ててお化けが出ると言われていたので、親戚縁者などは「なに考えてんのーお化け屋敷を買ってアトラクションでも始めるつもり⁉」と止めましたが、宰相は知らんぷりして、吉日を選んで引っ越しました。
雑なストーリー②・引っ越しと言っても、畳一畳だけを家臣に持たせて屋敷に入りました。屋敷は、中も庭もとんでもなく荒れ果てておりました。宰相は屋敷の母屋に畳を敷きその上に座り、軽い掃除と火を起こさせた後に家臣たちを帰らせて、ただ一人残りました。夜になり宰相が天井に気配を感じてみると、なんと、天上の木枠の中の全部に人の顔があり、こちらを見ています。しかし宰相は何も動揺しません。すると顔は消えて行きました。
雑なストーリー③・次は敷地の端から端を、馬に乗った小さい人間が四、五十人駆けて行きましたが、宰相は知らんぷりです。次は塗籠とゆう押入れみたいな所の戸が勝手に開き、中にはやっぱり小さめの女が座っていました。あれこれ麗し気なのですが、覆っていた扇を動かすとその顔は、口は裂け牙が生えた恐ろしい形相です。やっぱり宰相が知らんぷりしていると、女も引っ込んでいきました。そして荒れ果てた庭の奥から、手紙を持った老人がやって来て跪きました。
雑なストーリー④・老人は「ここには私ら、ずっと住んでたのに、あなた様が住もうとしてるから困ってます」と言いました。宰相は「ここは私が正規の手続き踏んで買ったんだから、あんたらが出て行きなさいよ。自分たちが住みたいからって人々を脅かして、質が悪いよ!」と叱責すると、お化けたちは、他の廃屋に移ることを決意して消えて行きました。
雑なストーリー⑤・朝になり、家の者達が、宰相を迎えにやって来ました。これ以降この屋敷に悪い事は何も起こりませんでした。このように賢い人は、どんな難にも遭わないものだと、人々は感心し、言い伝えました。
野式部の雑な感想
霊になると、見える人間が、大抵怖がってくれるので味を占めるのでしょうか。この話のように無視されると、立場を失くして消えるのかも。それにしても、もうちょっと強面のお化けはいなかったのでしょうか。
次回は「今昔とんでも物語」㊻を、お送りします。次回はナンパストリートに異変が起こるお話です。
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