今昔とんでも物語㊼「消えた役人」

青年の主張

平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回も、猟奇的なお話です。

遅刻で助かった命

雑なストーリー①・昔、京の役所では、朝早く始まる、役人たちのミーティングみたいのがありました。まだうす暗いので火を灯さないとならないほど、夜が明けてすぐくらいに来なければならないのです。

雑なストーリー②・ある朝、ある役人の男が寝坊してしまい、慌てて職場に走りました。見ると門に上司の牛車があったので「やっべー!上司もう来てる!部下が先に来ているべきなのにぃ~」と更に慌てます。会議室に到着し中を覗くと、誰も居ない上に火が消えています。不思議に思った役人は、少し戻って、上司の従者たちに「上司どこ?」と聞くと、「だいぶ前に会議室入ったままですけど?」と答えたので不安になります。

雑なストーリー③・そこで、警備の役人を呼んで、灯りを持ってきてもらい、上司の座席を照らしてもらうと、そこには血の付いた髪の毛があちこちに飛び散っていました。皆、驚いて、更に見ると、血の付いた笏(おじゃる丸が勝手に持ち歩いている木の板)や、くつなど飛び散り、座布団は血まみれでした。
雑なストーリー④・それから、その会議場所は使われなくなり、朝早い会議も無くなりました。いくら仕事とはいえ、まだ暗い人気のない所は誰だって恐ろしいのです。

野式部の雑な感想

何とも恐ろしい話です。よりによって役所で人を襲うなんて。しかも、朝一番で参内した真面目な役人が被害に遭うなんて。部下が遅刻しなければ、食べられていたのは部下の方だったでしょうに。かと言って、遅刻の方が食われるべきだ、なんて酷すぎます。この不条理が鬼の仕業らしいのかも。前回(鬼に喰われた女官の話)同様、鬼からしたら、人間がどう思おうと知った事じゃないんだと、強く感じます。ただ、誰も事件の瞬間を目撃した訳ではないので、盗賊とか人災の可能性があるかと。鬼の仕業に見せかけたとか。

次回は「今昔とんでも物語㊽」を、お送りします。次回はお化け屋敷で起こった事件のお話です。


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