今昔とんでも物語㊸「油瓶の鬼」

復讐に燃える瓶

平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。今回は、謎めいて不思議なお話です。

リベンジ瓶

雑なストーリー①・昔、京に大変賢い大臣がいました。ある日、参内した大臣が自宅に帰ろうと牛車に乗っていると、道に小さな油瓶が踊り出て来ました。

雑なストーリー②・「何じゃこれ、なんのもののけ?」と思いながら、瓶を見ていると、ある屋敷の前で止まり、閉まっている門の鍵穴から中に入ろうと、何度も飛び上がりました。そして遂に、鍵穴から中に入って行きました。

雑なストーリー③・大臣は、自分の屋敷に帰った後に、家の者に「あの屋敷で今日、起こったことを聞いてきて」と命令しました。家の者が帰ってきて言いました。「あの屋敷の姫君が、病で療養していましたが、今日、亡くなってしまったそうです」
雑なストーリー④・大臣は思いました。「あの瓶は物の怪か何かで、鍵穴から入り込み、その家の娘を殺してしまったのだろう」と。娘は何らかの恨みを持たれていたのだろう、と人々は言い合いました。

野式部の雑な感想

恨む相手に報復に行く、昔話ではよくある話だと思うのですが、よりによって小さな瓶。正直、これが家に入ってきても怖くないし、だいたい、瓶の身の上でどう人を殺したのでしょうか。瓶になった段階で、霊とか鬼とかだから、何でもできるっちゃあそうですが。もう一つ気になるのは、ターゲットの娘が病みついていた事です。良心の呵責に苛まれていたのでしょうか。どんな恨みを買ったのか気になります。

最後にお恥ずかしながら、油瓶の形態を調べきれずに一輪挿し花瓶のように描いた事、申し訳ありません。しかもでかい。手作りでやっております。温かい目で見て頂けると幸いです。

次回は「今昔とんでも物語」㊹を、お送りします。疑惑の陰陽師の登場するお話です。


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