今昔とんでも物語㊷「和バーバパパ」

平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。今回は、恐怖ながら、ユニークな鬼のお話です。

魔物も色々

雑なストーリー①・ある夏の夜、武士の若者2人が刀を身に着けて、仕えてる屋敷で宿直当番みたいなのをしていました。屋敷の一番手前の部屋で、眠らずに他の人とかと話したりしていました。その奥の部屋で、位のある年上の偉そうな顔した役人の男が、控えていましたが、刀は持っていませんでした。おまけに眠り始めました。

雑なストーリー②・夜も更けてきた頃、二人の武士は、横の部屋の屋根の上から木の板が出てきたのを見ました。「何なんだ。誰かが板を登って屋敷に放火しようとしてるとしても、上から板が出てくるのはおかしいな」と、二人で不思議に思っていると、何と板はどんどん伸びてきて、ふわふわ浮いて自分たちの方に向かってきたのです。
雑なストーリー③・「この板は、鬼に違いない。近くにきたら斬ってやろう!」と武士たちは、刀を抜いて構えました。すると、板は危険を感じたのか、戸の隙間から奥の部屋に入って行きました。
雑なストーリー④・しばらくすると、奥の部屋から、人のうめき声が聞こえてきました。武士たちが事情を話し、家の者達と駆けつけると、役人の男がぺっしゃんこになって死んでいました。板の鬼に潰されたのでしょう。もう板は消えていました。
雑なストーリー⑤・どうしてかは分かりませんが、その後、その屋敷は鬼が出る場所だと認識されました。たぶん、板の鬼は襲いに来たけど、武士たちが刀を持っていたので避けて、ほかの部屋に行き、刀を持っていない役人の男を殺してしまったのでしょう。男子たるもの、いつでも刀を持ち歩くべきだ、と人々は言い合いました。

野式部の雑な感想

武士たるもの、どんな時も気を引き締めているべき、とゆう教訓的物語でもあるのでしょうが、鬼が板になって人の命を奪うとは、驚きです。正直、変身するのって、狐、狸のフィールドじゃないの?と思ってしまいます。鬼の話はいくらでもありますが、板とはねーと発想に感心します。もしかしたら、不幸にも板に潰されてしまった人がいて、「あの板はわざとだ」「あの板は伸びて飛んだ」「あの板は殺す相手を決めていた」みたいな経緯があったのかしら、と思ってしまいます。

次回は「今昔とんでも物語」㊸を、お送りします。次回も妙な形で出てくる鬼の話です。


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