今昔とんでも物語⑨「蕪で子供が出来た男」

衝撃の告白

平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回は、色々な意味で今昔物語を代表するような、摩訶不思議なお話です。

平安時代の娘の事情。知らぬは親ばかりなり?

雑なストーリー①・ある男が東国に向かう旅の途中で、突然性欲を催します。ふと見ると目の前には蕪の畑。男は畑の中に入り、いい雰囲気の蕪で用を足します。スッキリして、蕪を畑に投げ捨てて馬に戻り旅を続けます。

雑なストーリー②・畑の持ち主の娘がその蕪畑で、投げ捨てられた蕪を見つけ、なんだか不思議に感じ、食べます。すると娘は妊娠します。男の影もない娘の妊娠に両親も周囲も驚きます。

雑なストーリー③・数年後、例の男が京に戻る途中、例の蕪畑の前を再び通り、その思い出を供の者に話しておりますと、それを偶然聞いた娘の母親が、「お話したいことがあるので、是非我が家へお越しください」と只ならぬ形相で頼んでくるのでした。

雑なストーリー④・男が家に行きますと、見知らぬ女と、自分によく似た男の子が居ました。両親も娘から妊娠した心当たりは蕪だと聞いており、あまりに娘の話と符合する話を畑で聞いたので、孫の父親はこの人に違いない、と確信して男を是が非でも連れてきたかったのです。

蕪で用を足したら子供が出来たとは、男は驚きましたが、娘も子供も可愛いし、京に戻っても身内がいるわけでなし、これも何かの縁だから、とその地に留まり、その家の婿となりました。

野式部の雑な感想

まず思うのは「精液を飲んで妊娠するのか」とゆう素朴な疑問です。男にとっては自慰行為の残骸で自分の子供が出来たのですから、さぞ驚いたことでしょう。「こんな事あってさー」なんて話してたら見知らぬ人から血相変えて「ちょっと来て!」と言われ、行ってみると「あなたの蕪で娘が子供産みました」なんて大事に。皆真面目なのに、何とも面白い場面です。こうゆうテーマの話がある所が「今昔物語」の面白味ではないでしょうか。

もう一つ思うのは、当時の娘の恋愛事情です。結婚前の娘が妊娠して、親が話を聞いてみると、通ってきた男がいたけど何処の誰かは知りません、それは大体、人間以外の生物が人間に化けて通って来たのでした。昔話には、鶴やら狐やらあらゆるものが人間と恋をして交わり子を授かる話が多数あります。不可能が可能になる霊力のようなものが昔にはあったのではないか、と思えるのですが、その反面、どうしても人に言えない事情のある妊娠をした娘が、苦し紛れに架空の男性を子供の父親だと言い張った可能性もあるのではないか、と邪推してしまいます。悪い事とは思いませんが。この話もそうゆう可能性もあるのではないか、と思います。

恐怖のワンポイント・アドバイス

「今昔物語」の各話のラストに、語り手の一言があります。時には現代の価値観では許容出来ないような一言もあるのですが、今回は「男女が肉体的に交わらなくても、子供が出来る事あるんだねー稀だけど」みたいな。賞賛するわけでも糾弾するわけでもない感じが素朴でいいですね。

次回は「今昔とんでも物語⑩」をお送りします。


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