今昔とんでも物語【70】いきなり出家

思いつき僧

今回は、ナウなヤングが「そうだ、僧になろう」と思いつくお話です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介します。

元興寺の律師(15巻2話)

雑なストーリー①・昔、ある地方都市で、経典を写経してもらい供養にしようとした人がいて、有名な律師と言う高い位の僧が呼ばれました。盛大な催しだったので沢山の見物人で賑わっていました。

雑なストーリー②・そんな見物人の中に一人の青年がいました。この人はセブンティーンにもなるのに元服もしないで子供の髪型のまま、仲間とプラプラ遊び回っている、今で言えば『ピーターパン・シンドローム』と言った所でしょうか。しかしこの青年、供養の様子を見て律師の説教を聴いているうちに「出家したい!」と突如強く思い立ちました。

雑なストーリー③・まず自分の家に帰り両親に「僕は今来てるお坊様について行って出家したい」と言いました。両親の許可を得てから、供養に呼ばれた律師の後を追いかけて「弟子にして下さい!お寺で修行させて下さい!」とお願いしました。

雑なストーリー④・律師は突然の話に驚きましたが「なかなか感心な若者ではないか、パッション凄いな」と思い、そのまま若者を連れてお寺に戻りました。

雑なストーリー⑤・若者はすぐに出家して真面目に勉強しました。そして立派な僧になりました。努力し続けたのでこの僧が亡くなる時には念仏を唱えながら立派な往生をしたそうです。

野式部の雑な感想

特に信心もなかったのに、突然出家して立派な僧になるとは、不思議な話です。

一緒に遊んでた友達も家族もさぞ、驚いたことでしょう。

思いつきで始めた事、上手く行かない可能性も高いですが、若者のポテンシャルが高かったのでしょう。熟慮しても長年思い込んでも上手く行かない事もあります。仏への道に近道はない、というモデルケースなのでしょうか。

次回は「今昔とんでも物語【71】」を、お送りします。究極の終活のお話です。


この記事が少しでも面白い!と思っていただけたら、
応援のクリックをいただけたら嬉しいです!