今昔とんでも物語【78】土壇場で改心

再登場!ごろぴかどん

今回はありがたいけど複雑な物語です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。

悪人の念仏(15巻47話)

雑なストーリー①・昔、あるところに、悪い事し放題の人がいました。「そんな悪い事ばかりしてると死んだ後、地獄に落ちるから気を付けなされや!」と言ってくれる人がいましたが悪人は「てやんでぇ綺麗事言うんじゃないよ!矢でも鉄砲でも持ってこいや!」と更に悪い事をする始末でした。

雑なストーリー②・数年後、そんな悪人も重い病気になり明日をも知れぬ状態になってしまいました。すると朦朧とした意識の中で悪人の目に、死んで地獄行きの人間が乗るとされている火の車が見えました。そこで初めて悪人は恐怖を感じ、1人の偉い僧を呼んで泣きながら言いました。
雑なストーリー③・「自分はずっと悪い事をして罪をつくって来た。『それでは地獄に落ちるよ』と助言してくれる人もいたが気にもしなかった。でも今、地獄車が迎えに来たのを見て本当に地獄はあると知って後悔してるよ…」


雑なストーリー④・今度は僧が言いました。「地獄を信じたなら、念仏を唱えれば極楽往生できると信じなさい。心を込めて念仏を唱えなさい」と。悪人は手を合わせ念仏を千回唱えました。

雑なストーリー⑤・僧が悪人に「まだ地獄車が見えますか?」と聞くと悪人は「火の車はもう見えない…代わりに金色の大きな蓮が見える…」と言いながら息絶えました。悪人は極楽往生できたのです。僧は涙を流して仏に感謝しました。

悪人でも念仏を唱えれば極楽往生が出来る、と人々は尊びました。

野式部の雑な感想

このお話を読んで思い出す事があります。中学生の時の歴史の授業だったでしょうか。「免罪符」と言う、教会が発売したお札を買えば罪が軽減されるとの事でとても売れたそうです。それを聞いて「最後になって心を変えるなんて節操がないな。たとえ間違った道としても貫き通した方が人としては信頼できる」と思った自分を思い出します。それにしても死にかけてる人に念仏千回唱えさせるなんてスパルタですなぁ。昔話界の宗方仁と岡ひろみです。

次回は「今昔とんでも物語【79】」を、お送りします。次回は魚の鮒と極楽往生の話です。


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