今昔とんでも物語【74】リハーサル僧

僧の月影先生

今回は極楽往生の為のリハーサルを重ねる僧のお話です。平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介します。

丹後の国の聖人の往生(15巻23話より)

雑なストーリー①・昔、ある寺に偉い僧がいました。この人は極楽往生に対するパッションが特別に強く、そのための予行練習を毎年年末にしておりました。

雑なストーリー②・年末に子供の使用人に手紙を持たせ、自分の僧房の門を叩かせます。僧が「誰ですか?」と尋ねると子供に「阿弥陀如来からの使いです」と答えさせます。手紙には「今日中にこっち(浄土)に来るように」と書いてあります。僧はまるで本当に仏からの招待状を受け取ったかのように感動の涙を流して喜びました。毎年の事ですので子供も手順をすっかり覚え、すらすらセリフを言えるようになりました。

雑なストーリー③・その土地の国司はこの僧をとても尊敬していました。僧の願いもあり「むかえこう」と言う法会を開くことになりました。京から踊る人や演奏する人を呼び迎えて盛大に催されました。

雑なストーリー④・その豪華絢爛な儀式の中、僧は言いました。「この素晴らしい催しを自分の迎えと思って死ねたらどんなにいいか」と。

雑なストーリー⑤・仏に扮した人が僧に声を掛けると、僧はもう動きませんでした。願い通りの往生をした僧を、尊い事だと人々は感心しました。

野式部の雑な感想

何となく、どうなんだろうと思ってしまうお話です。言葉は悪いですが、台本書いて役者きめて小芝居するような事が評価されるのかなぁと。リハーサルが功を奏した、というよりは、もともと立派な僧だったという事なのでしょう。

次回は「今昔とんでも物語【75】」を、お送りします。兄弟にマウントとる僧のお話です。


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