今昔とんでも物語【77】美童子鬼撃退


今回は帰って来たヨッパライ、ではなく帰って来たシラフの人です。平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。
大ピンチの阿武大夫(15巻46話より)
雑なストーリー①・昔、ある所に大変勇猛な武士がおりました。殺生などの悪い事もへっちゃらで、威張り散らしブイブイ言わしておりました。
そんな男も年を取り、大きな病で命が危なくなりました。家族が心配して沢山の僧を呼んで念仏を唱えてもらいましたが、男の命は終わってしまいました。
雑なストーリー②・集まった僧たちが帰って行く中、1人の僧が「この人の死後の弔いをしたい」と言って屋敷に残り、念仏を唱え続けてくれました。すると、何という事でしょう。無くなったはずの男が息を吹き返したのでした。家族はとても喜びました。
雑なストーリー③・生き返った返った男は、残ってくれた僧にまず、感謝をしてからどうして生き返ったかを語り出しました。
男が冥途で悪鬼に追われていると、僧の念仏が聴こえてきました。すると、美しい童子が現れ、鬼達を追い払い、自分をこの世に戻してくれたそうなのです。
雑なストーリー④・男はちゃっかり病気も治り、道心を起こし、仏門に入りました。そしてひたすら修行にいそしみました。どんなに悪い人でも、改心すれば必ず救われる、と人々は話し合いました。
野式部の雑な感想
死の瀬戸際で救われる人の話はいくつかあると思うのですが、一度亡くなって帰ってくるとは、変化球ですね。ただ、これほど家族に愛されているのだから根はいい人なのかな、と思えます。ごく周りだけには優しく他には極悪非道、な人も世の中には一定数いるのでしょうが。

次回は「今昔とんでも物語【78】」を、お送りします。次回も同じような、死を前にした人のお話です。
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