今昔とんでも物語【76】尼ジャイアン

シャウト尼アリーナを煽る

今回は熱心ながらちょっぴ残念な尼のお話です。平安時代末期の説話集「今昔物語」の中から特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。

流浪の尼(15巻41話より)

雑なストーリー①・昔、ある所に無名の尼がいました。縁者も特にないのでその土地のお寺の偉いお坊さんの下働きのような世話を焼き日々の糧を得て暮らしておりました。

雑なストーリー②・尼はいつでも熱心に念仏を唱えているのですが、その声が大きく声高でシャウトしているかのようなので、偉いお坊さんの弟子たちに嫌われてしまいました。弟子たちが尼を追い出そうと結託して師匠僧に悪口吹き込んだりしたので、とうとう尼はそこを追い出されてしまいます。

雑なストーリー③・行く当てもなく野をさまよい歩く尼の姿を、その土地の人の妻が見かけ、可哀想に思い家に置いてくれる事になりました。尼は限りなく感謝して過ごしました。

雑なストーリー④・数年後のある日、尼は人妻に言いました。「私は明後日死ぬようなのでお世話になったお礼にあなただけに往生の様子をお見せしたいと思います」人妻は何とも複雑な思いがしましたが、約束通り誰にも話さず、湯浴みや着物を準備しました。

雑なストーリー⑤・さて当日、人妻は邪魔にならぬよう少し離れた場所に控えておりました。尼が念仏を唱え続けていると庭の方から美しい光が差しいい香りが漂い、紫の雲が立ち込めました。尼は西の方角を拝みながら亡くなっていました。

雑なストーリー⑤・この家に、ある時偉いお坊さんが来たので、人妻は尼の話をしました。お坊さんは「この人もいい事したから往生できるだろうな」と思いました。

野式部の雑な感想

いいお話なんですけど、念仏が不快で人に嫌われる話を初めて知って、ちょっと笑ってしまいました。本人至って真剣なのに残念です。でもセンスがない人でも見捨てないのが仏と言う事なのでしょうか。また、さすらいの尼を助けるのが女性なのがいいですね。「家は広いから好きな所で念仏となえなさーい」なんてご飯も出してお部屋に着物も用意して、精神的にも物質的にも余裕がある人だったんですね。

次回は「今昔とんでも物語【77】」を、お送りします。次回は帰って来たシラフの人のお話です。


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