今昔とんでも物語⑩色男・平中の懸想


平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回は、なんと排泄物が大切なアイテムである、ぶっとびのお話です。
平安時代のスカトロ?⁉恋に溺れたプレイボーイの行末
雑なストーリー①・「なびかぬ女は居ない」と言われた平安の色男、平中さん。貴人に仕える女性に目をつけて猛アタック。しかし相手もかなりの恋の道の達人。せっせと送るおてまみにお返事もありません。「せめて”見た”とだけでも一言頂戴よ」とせがむと、自分の送った文の中の”見た”の文字を切り取り貼って、送り返してくる始末。ますます恋焦がれる平中なのでした。
雑なストーリー②・ある大雨の夜、平中は女性の所に押しかけます。こんな夜に訪ねれば、冷たい女性もさすがにほだされるのでは、とゆう淡い期待を胸に抱きながら。すると中に入れてもらえ、やがて意中の女性が戻ってきます。「やったーついに!」と平中は有頂天になりますが、女性は「あっ、外の鍵かけ忘れてきちゃった!ちょっとかけてくるわ」と部屋を出ます。平中がワクワクしながら待っていると、いつまで経っても戻ってこない。時間だけが経過し、だんだん不安になり、戸を見に行くと、なんと外側から鍵をかけられていて、その時やっと騙されたと気づくのでした。
雑なストーリー③・プレイボーイのプライドもズタズタ、もう諦めようと思いますが、その方法が分かりません。悶絶する平中の脳裏に、ある考えが浮かぶのでした。
彼女の勤める屋敷に忍び込み、彼女の付き人の少女の手から、あるものを奪い取る平中。なんとそれは、用を足すためのおまるの中身でした。平中はこの恋を諦める方法として「そうだ、意中の彼女の便を見て目を覚まそう!」となったのでした。
しかし、箱の中の彼女のそれは、あまりにも美しく、香しい匂い。なんと彼女は、平中の行動を予想して先手を打ち、それに見えるような、美しい細工を作らせておいて、わざと盗ませたのでした。
ここまで自分の先と上を行く女性への想いを断ち切れず、平中は病になり、とうとう亡くなってしまったとの事です。
野式部の雑な感想
当時の生活様式や慣習を詳しく勉強すれば、この平中のひねり出した恋を諦めるための案は、ごく一般的だと思えるのでしょうか。恋に苦しむ気持ち位までなら分からなくもないですが、度肝を抜かれる展開です。現代では変態の誹りは免れない暴挙と言えるでしょう。
同じような平中のお話が「宇治拾遺物語」にもあるのですが、そちらの平中は、やっぱり便は盗むけど、命までは落とさないのです。その極端さが「今昔物語」の魅力の内であるように思ってしまいます。
しかし1つ気になるのは、平中がプレイボーイである所です。純情で真面目な男が恋に狂ってとんでもない事をして息絶える方がありそうに思えるのですが。もしかしてこれは、「上には上がいる」「因果応報」的な教訓の物語なのでしょうか。平中を見事フッた女性もいつか、恋に苦しむ日が来るのでしょうか。それともすでにもう、苦しんだのでしょうか。

次回は「今昔とんでも物語」⑪を、お送りします。浮気な夫を大胆な方法で懲らしめる妻のお話です。
この記事が少しでも面白い!と思っていただけたら、
応援のクリックをいただけたら嬉しいです!