今昔とんでも物語⑬「蛇を助けた道明寺の僧」

激おこ大蛇

平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回は日本の伝統芸能に欠かせない、大人気のお話です。

疾走!へび女の恐怖!美しさは罪だった…

雑なストーリー①・熊野権現参拝に向かう旅の僧が2人、ある屋敷に一夜の宿をお願いします。屋敷の女主人は、若い方の僧の美麗なルックスを見て、たちまち愛欲の炎を勝手にたぎらせるのでした。そして「宿泊OK」してくれたものの、夜中に美僧の布団に忍び込み、関係をえげつなく迫るのでした。

雑なストーリー②・修行中の身だし、困っちゃった僧は「嫌だって言うんじゃないんだけど、お参りが済んだ帰りにここに寄るからさ、今夜は無理よ」とやっとこさ断ります。明朝、僧2人は屋敷を出発します。

雑なストーリー③・僧の帰りをワクワクして待ってた女主人でしたが、何日経っても戻らないので不審に思い、外に出て熊野権現帰りっぽい人に尋ねますと、「あーそのイケメン僧なら、別の道から帰ったよ」と言われ、騙されていたと気が付くのでした。女は屋敷に帰ってから憤死してしまいます。すると、その床から大蛇が這い出て、僧の後を追ったのです。屋敷の者はもちろん、道行く人々も、見たこともない異様な大蛇の形相に、肝を潰すのでした。しかも速い。

雑なストーリー④・恐怖の噂を聞きつけた僧2人は、道明寺に助けを求めます。寺の皆で一生懸命助けようと、美僧を丈夫な鐘の中ならと、かくまってみます。しかし大蛇は猛スピードで寺の閉ざした門をよじ登り、美僧の隠れた鐘を目ざとく見つけ巻き付いて、ぶっ壊そうとガンガン尻尾で叩きます。終いには鐘は炎に包まれ、大蛇は血の涙を流しながら去り、鐘が冷めてから皆で持ち上げますと、美僧は骨も残らぬほど、燃え尽きてしまったのでした。

雑なストーリー⑤・その夜、道明寺のある僧が夢を見ます。美僧が蛇の姿で「結局、蛇に堕落させられちゃって地獄に落ちちゃった。道明寺の有難いお力で何とか私達を救ってちょーだいな」とお願いしてきたのです。目が覚めた僧が2人のためにお経を読み供養しますと、今度は僧と女が人間の姿で夢に出てきて「どーもありがと!お陰で救われたよ!」と幸せそうにお礼を言うのでした。

野式部の雑な感想

色欲に囚われた女が蛇になって男を追う、このストーリーのインパクトは余りにも強く、昔から多くの人に愛されてきました。しかし、一言だけ言わせてください。蛇になった女が、夫を亡くした既婚者だったのか、それとも恋に恋する未婚の女性だったのか、そんな議論どうでもいいのです。どんな経歴の女だったかよりも、噓をつかれて頭に来たとはいえ、憤怒が頂点に達すると、大蛇に変身してしまう特異体質の方が問題なのです。生霊もそうですが、男の為なら女がどんな事でもするとゆうのは、男性社会の幻想ではないでしょうか。性別に関係なく、諦めの良い人間と、諦めの悪い人間が、古代からいたはずだと思います。

そしてもうひとつ、へそ曲がり人間として是非言いたいのが「道明寺のお坊さんが見たのは、ただの夢じゃね?」とゆう事です。その可能性はゼロではない、はずです。

次回は「今昔とんでも物語⑭」をお送りします。理由あって別れた夫婦の衝撃の再会のお話です。


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