今昔とんでも物語㉕「出家した侍女」


平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回も、タイミングが不思議なお話です。
早まったのか、悟ったのか。侍女に何が起こったか
雑なストーリー①・京に、平中とゆう色好みで有名な貴族の青年がいました。ある時、帝の后の女房(宮中に仕えている侍女)達が、皆で連れ立ってお出掛けした所を見かけた平中。たちまちその中から一人をロックオンして、恋のおてまみを出しました。「いっぱいいたけど誰宛なの?」と訊ねますと「濃い色のお洋服着た人よ」と返事があり、「あの時、濃い色着てたのはあの人ね」となり、2人は手紙のやり取りを始めます。
雑なストーリー②・平中が懸想したのは、美人でモテた女性でしたが、平中があんまり押しが強いので、思わずお付き合いを始めてしまいます。しかしある日、共寝した明け方、帰った恋人、平中から何の文も来ません。待ち続けて夜になっても、返事も本人も来ないので、女性は大変不安な日々を過ごします。
雑なストーリー③・「来ないのはともかく、手紙さえ寄こさないなんて。あんな遊び人のたわ言、真に受けて、体を許すなんて、相当馬鹿ね。」と、家の侍女たちにも陰口を叩かれる始末。自分でも思っていることを人から言われるのは、大変辛い事です。女性は、悩んだ末に出家してしまいます。
雑なストーリー④・平中の元に女性の乳母が手紙を持って行きました。その中には、切り落とした髪の毛が入っていました。手紙を読み、女性が出家してしまったと知り、平中はびっくり仰天します。実は平中は、やんごとない上皇に、いきなり呼び出され、「あと一日だけっ」と毎日引き留められ、帰りたくても帰れない、プチ監禁状態だったのです。慌てて女性の所に行きますが、すでに尼となった身、会っては貰えませんでした。
野式部の雑な感想
当時の結婚の風習の、一夫多妻制の中で、夫を待つのは辛い事ですが、女性にも離婚再婚の自由はありました。今回の話の女性も、気を取り直して「ハイ、次の男!」と行くことも出来たはずが、出家とは、穏やかではありません。もちろん、早とちり感はありますが、自分は思うのです。本当に平中は手紙すら出せない状況だったのでしょうか。貴人を言い訳に、女に恥をかかせても気にならない男だとしたら、遅かれ早かれ、不誠実に去って行ったのではないでしょうか。それを見越して、平中はもとより、男性、世の中に見切りをつけての、出家だったのかも。そう考えると、興味深い話にも思えます。

次回は「今昔とんでも物語㉖」を、お送りします。特異体質の男性のお話です。
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