今昔とんでも物語②

平安女王様

「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回は、特に謎めいた不思議なお話です。

平安初?めくるめくSMの日々!-女盗賊の話-

ストーリー①・ある日、とある男が町を歩いていると、大雑把に美女にナンパされ、夢のような一夜を過ごします。その屋敷には誰も居ないのにどうしてか翌朝、二人分の豪華な食事が運ばれてきます。男がちょっと出かけたいと言うと、身支度を整えて馬や従者まで用意してくれるのです。不思議だけど、至れり尽くせりの愛欲の日々、ずるずると過ごす内に女は「こうなったのは前世での縁があってでしょうから、私の頼みを聞いてもらいたい」と言いだすのでした。

ストーリー②・「もちろんだよ、どうとでもしてよ」と男が答えると、女は男を縛り付けて鞭打ち、手厚い手当てで傷を治すと、また鞭打つのでした。更に女は男に盗賊の一味に加わるように指示します。男は言われた通りに、何度も盗賊として働きます。

しかしいつの頃からか、女は悲しそうな様子を見せます。そしてある日、男が出掛け、戻ると屋敷は跡形もなくなっていました。女の家の付き人もいつの間にかいなくなってしまい、男は茫然とするのでした。

ストーリー③・男は一人で泥棒を働き、失敗して捕まります。そして盗みの契機として、この不思議な出来事を話し出すのでした。後にして思えば、盗みの現場にいた、遠目に見た首領らしき男が、小柄で色白で、美女によく似ていた気がしたそうなのです。

恐怖のワンポイント・アドバイス

美女が色仕掛けで男に犯罪をさせる、特に珍しい話ではないのかも知れません。しかし不可解なこの話の中でも特に不思議なのは、女が男を木の板に縛り付けてまで、鞭打つ所です。打たれても平気だと言う男を、ねんごろに手当てして、ご馳走で療養させ、しばらくするとまた、打ち据えるのです。頑張って理由を考えますに、

①立派な盗賊にするために、鍛えた。

②拷問されても口を割らないよう、予行練習。

③美女はサドの女王様だった。

鞭打つことが、鍛えるために最適な方法とも思えませんし、捕まったら拷問より前に、ベラベラ話し出したから練習にもなりませんでした。ここはやはり、Sの女性が、Mの男性に出会い、飼育、調教した物語ではないでしょうか。最後、跡形もなく消えたのは、プレイの集大成の総仕上げ、奴隷の放置だったのです。なんて思ってしまうほど、謎めいた物語です。

「今昔物語」の各話のラストに、語り手の一言があります。時には現代の価値観では許容出来ないような一言もあるのですが、今回は「あまりのも不思議だから書き記した」とゆうシンプルな物でした。

次回は「今昔とんでも物語」③を、お送りします。


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