こんなにもリンクする!「源氏物語」と「蜻蛉日記」その②「恋敵のキャラ被り」

源氏物語のホラースター、六条の御息所と、蜻蛉日記の作者、藤原道綱の母は、設定が似ている、とゆうのが前回のテーマでした。今回は、その2人の恋敵が似ている…とゆう話をしたいと思います。

光源氏を虜にした!「夕顔の君」

夕顔の君は、光源氏が、乳母の病気見舞いで下町を訪れた時、出会った女性です。育ちはそれなりの貴族の娘ですが、両親が他界して後ろ盾のない所に、恋人の正妻に「夫の前から消えないと、わかってるね?」と脅され逃げてきました。当時の貴族の娘は、親の後ろ盾や財産がなければ、身を落とすか、餓死するしかない運命でした。夕顔の君も下町で売春して日銭を稼いでいたとゆう説もあるほどです。

しかしそんな、これまでの周囲にはいないタイプの夕顔の君に、光君は夢中になります。この夕顔の君は不思議な女性で、最初は身分バレたくない光君が顔隠して来ても特に気にしないで通わせたり(多分光源氏だと思ってたようですが)従順なのか、自暴自棄なのか、好色なのか、悟りの心境なのか、実はまさかの何も考えてないのか、光君にも不可解だったのではないかと。でもそれも魅力です。このまま行けば紫の上と寵愛を競い合う妻になったかも。光源氏の人生も違ったものになったかと思います。

ところが、ある夜、どういった趣旨かはわかりませんが、光君が廃屋の寺院に、夕顔の君を連れて行き過ごしておりますと、物の怪に襲われて、夕顔の君は命を落としてしまうのでした。

そしてその物の怪の正体は、はっきりとはしませんが(はっきりとわかる時もある)六条の御息所だとされています。

道綱の母が最も嫉妬の炎を燃やした!「町の小路の女」!

一方、「蜻蛉日記」では、まだ新婚で子供を産んだばかりの道綱の母が、やってきた夫の様子が怪しいので、家の者に後をつけさせますと、夫の新しいガールフレンドが下町に住んでいる事が判明するのでした。この小路と言うのが貴族の住まない、庶民の住むカジュアルな地域だとゆう事が今回、重要なのです。

恋人や夫の浮気相手に、最も許せない「条件」とは?

現代でも、自分のパートナーの浮気相手に対して「自分よりブスだと許せない!」「なんであんなオバさんと!」と怒る女性の話は聞きます。正直、人間に格付けして優劣をつけるような価値観はどうかと思います。逆に言うと、自分より「格上」の相手だったら、パートナーを奪われ、それまでの生活や家庭を奪われても、当然だと受け入れなければならないのでしょうか。

ちょっと話がずれましたが、平安時代の価値観はもっと露骨でした。どんな家に、どんな両親のもとに産まれてきたかで、人間の優劣ははっきり決まっていました。そんな中、共通点のある、六条の御息所と道綱の母は、夫の新しい恋人の身分が低い事に、プライドが傷つき、強い怒りを感じたのではないでしょうか。

まぁ、六条の御息所は、光源氏の恋人には大体嫉妬するので、身分だけに怒ったわけではないのでしょう。ただ「こんなに素晴らしい私があんた(光君)を待ちわびてんのに、なんでそんなつまんない女に夢中になってるわけ?」と頭に来たのではないかと思われます。

一度だけ「飛んだ」?道綱の母、地獄飛行!

赤裸々な心情が綴られている所が魅力の一つである「蜻蛉日記」ですが、一箇所だけ、ゾッとする文章があります。道綱の母の夫、藤原兼家が夢中になった小路の女が男の子を出産するのですが、この子が生後間もなく他界してしまうのです。当時の幼児の死亡率はとても高かったので(特に男の子)仕方のない事かもですが、それを知った道綱の母は日記に「せいせいした」と書き記したのでした。

同じ男の子を持つ母親として、いくら憎い恋敵の子供だとしても子供に罪がある訳もなく、あまりにも非情ではないでしょうか。子供がいなくても、子を無くす親の悲しみは、人間ならば理解できると思います。

もう、身分の低い人間を同じ人間と思ってないとゆう可能性もありますが、もしかして、小路の女の子供を、生霊となった道綱の母が、とり殺してしまったのではないか、とゆう怖い想像をしてしまうのです。それなら自分の見た夢が現実になったんだーと思うだけかも知れません。まさか自分の仕業とは夢にも思わぬまま…予知夢見たと思ったりして。

次回は、一人の男を巡り、正妻と愛人の争い、いざこざについて語りたいと思います。またもや、六条の御息所の大活躍にスポットが当たります。


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