源氏物語・私の嫌いな男君BEST5⑤
第1位 薫
身分、年齢、容姿、人柄まで、幅広い女性達が登場する「源氏物語」はまるで女の百貨店、と好きな女君ベストテンを前回まで発表してまいりました。そして今度は「そうだ!男君シリーズやろう」と思い立ったのです。しかし恐ろしい事に女君と比べると、魅力に欠ける所は否めません。しかも感心できない人物ばかり。とゆう事で、嫌いな男君、ベスト5、いよいよ最終回です!
影のある貴公子、香りは口ほどにものを言い…
雑な人物紹介・光源氏の妻、女三宮を母に持つ薫。しかし本当の父親は、光源氏ではなかったのです。薫君の苦悩は尽きません。
ここが嫌だ①・何かを感じ取りアンニュイでやってます…
己の家庭の不穏な空気を、子供は感じ取るものです。母は高貴な身分でまだピチピチなのに出家、パパは何か冷たい。出生の秘密は、薫君の人生に影のように付きまといます。そのせいか、身分も申し分ない美青年、おまけに生まれつきいい匂いがしちゃう焚き物要らずの特異体質のオプション付きなのに、何か自信もやる気も持てない僕なのです。そして出生の秘密を知り、さらに苦悩を深めます。本当にお気の毒だけど、敢えて言いたいのです。自分の両親にどんな事があって自分が生まれてきたとしても、子供には何の罪もない事なのですから、そこは胸を張って欲しい。「俺は俺でなんも悪くねぇし!」と。当事者しか分からないことはあるでしょうが。でも正直、自分は悪くないのに罪悪感とか、返って傲慢に感じます。悲劇のヒロイン気取りと言いますか。ヒーローか。
ここが嫌だ②・何もかも後手に回る残念さ
とにかく薫は、初動が遅いのです。勧められた女性、「なんかなー」と思ってる内に、その人は、儚く亡くなってしまいます。すると「なんか、腹違いの妹が、凄い似てるってよ」と聞きつけ、お付き合いしてみると、故人の面影を追うばかりで夢中にはなれず。その妹が、浮舟なんですけどね。身代わりにされた相手が、たまったもんじゃない事も考えられない程、自分の悲劇に夢中なんですね。迷惑ですよ。
ここが嫌だ③・人の物になると俄然、勿体なくなる残念さ
そんな浮舟を見かけて、興味津々なのが、皇子、匂宮です。既にもう一人の浮舟の姉を妻にしているにも関わらず。浮舟と、ほぼ無理矢理に関係を持ち、激しい情熱をぶつけます。正直、匂宮には全然腹は立ちません。いかにも恵まれた皇子らしい立ち居振る舞い。人間、影がないとこんな風になるのかな、とゆう見本みたいな。返って潔く思えるのです。そんな訳で、浮舟は、面倒を見てくれた薫と、性的な魅力満載の匂宮の二人の板挟みとなり苦しみ、入水するまでに追い詰められるのでした。
ここで嫌なのが、大して好きでもないのに、ライバルが現れると、譲れない薫の心です。急に惜しくなるような。本当に好きなら例え相手が皇子だろうと、譲る必要はないのですが、頑張り出す箇所が、ちょっとずれてるんじゃないのかなーって思ってしまいます。はっきりしないのに頑固みたいな、苦手なんですね、きっと。こうゆうタイプが。
「源氏物語、私の嫌いな男君ベスト5」は今回で終わりとなります。次回から物語の闇鍋、今昔物語の、とんでもない話を取り上げてお伝えしたい予定なのですが、準備期間でひと月ほど、お休みさせて頂きます。
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