源氏物語・私の嫌いな男君BEST5④
第2位 桐壺帝
身分、年齢、容姿、人柄まで、幅広い女性達が登場する「源氏物語」はまるで女の百貨店、と好きな女君ベストテンを前回まで発表してまいりました。そして今度は「そうだ!男君シリーズやろう」と思い立ったのです。しかし恐ろしい事に女君と比べると、魅力に欠ける所は否めません。しかも感心できない人物ばかり。とゆう事で、嫌いな男君、ベスト5、を始めたいと思います!
愛の殉教者、あるいは、諸悪の根源…
雑な人物紹介・光源氏のパパ、桐壺帝。自分の後宮で、後ろ盾のない、低い位の「桐壺の更衣」に激しい恋をした、その時からすべては始まったのです。
ここが嫌だ!①・一夫多妻制の掟破りの困ったちゃん
桐壺帝を、一途な男性と思う方もいらっしゃるとは思いますが、帝の立場を考えるとどうでしょうか。示し合わせた訳でもないのに、世界中の王に、子孫を残してもらう、跡取りのため、後宮のようなものはありました。現代でも、一夫多妻の風習の国、地域はあります。現代では、妻は何人居てもいいが、平等に愛する事が望ましいそうです。多方面に問題はありますが、確かに平等に扱われることで、保たれる安定はあるかも、と思ったりします。その点から見ると、後宮で、一人の女性だけを愛した桐壺帝の周りで、様々なトラブルが発生したのは仕方のない事、火を見るよりも明らかですよ。しかも、その怒りや不満の矛先は、帝に向くはずがなく、弱い立場の桐壺の更衣に遠慮なく向けられました。更衣はその心労で、命まで奪われたと言っても過言ではないのです。
ここが嫌だ!②・夫に裏切られた、正妻の胸の内…
「源氏物語」で桐壺帝の正妻、弘徽殿の女御は、執拗に桐壺の更衣に嫌がらせ行為をして、更衣の息子、光源氏にまでつらく当たる怖いイメージです。歴史物語の中で、怖い正妻さん、結構お見掛けするのですが、現代からすれば、当然の怒りです。そりゃあ、親の権力を笠に着て好き放題、自分より弱い立場の者を蔑んだり、害したりするのは酷い悪事には間違いないですが、例えば、ある女性が素敵な男性と結婚して、可愛い子供も産まれて、一安心していた所に、夫が若い女に夢中になって、自分達を蔑ろにしたとしたら、どうでしょうか。絶対許せません。夫の浮気に怒る正妻を、悪者に仕立て上げたのは、男性本位の古い価値観ではないでしょうか。
ここが嫌だ!③・身代わりにされた、女性の胸の内…
愛する桐壺の更衣に先立たれ気落ちする帝の元に、1人の女性が現れます。藤壺の女御です。桐壺の更衣に激似、しかも後ろ盾もばっちりな女性。帝は大喜びで寵愛します。しかしですよ、たとえ国の最高権力者に愛されても、所詮は身代わり。亡くなった人の面影を追われるのは、幸せと呼べるでしょうか。「この方は本当の私を愛している訳じゃない…」なんてぼんやりしてた所に、若くセンスある美男子が「僕が好きなのはホントの君だい!」と猛アタックしてきたら、困るだけでしょうか。
とはいえ、やっぱり桐壺帝にも、良い所はあります。今まで、多くの憶測が飛び交ってきたましたが、本当は帝は、妻・藤壺と、息子・光源氏の密通に気付いた上で、気付かない振りをしていたのではないかと。藤壺と光源氏の子供を、わが子として抱っこしながら「なんかヒカルの子供の時とそっくりー。美しい人は似てるものなのかしらん」と嬉しそう。ヒカル君は冷や汗ものです。もし、そうだとしたら、身代わりにした妻にも、母親を失くしてしまった息子にも、申し訳ないと思っていたのかも知れません。
あるいは、何一つ気付かない、激鈍の幸せな人だったのかも知れません。
次回は、いよいよ?「嫌いな男君、第1位」をお送りします。
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