野式部の私の好きな古典BEST10⑨

物陰からの道綱の母

第三位「蜻蛉日記」藤原道綱の母

個人的に好きな、心に残った古典作品をベストテン形式で発表していこうとゆう呑気なシリーズです。お気軽に読んで頂ければ幸いです。なお、「古典」の解釈も呑気となっております。

満たされぬ愛の渇き…人妻、涙のダイアリー!

「蜻蛉日記」を人様にお伝えしたい一心で、機械音痴人間が始めたのがこのブログ、「王朝日記かげろう」であるわけなのですから「え?三位なの?」と思う方いらっしゃるかもしれません。でも、仕方がない、上には上がいるのです。とはいえ、この蜻蛉日記への熱い思いは、今も燃えたぎっていると言っても過言ではありません。

当世、三大美人の一人とされた才能あふれる女性の生涯

百人一首にも選出された、藤原道綱の母が、蜻蛉日記の作者であります。その歌の内容も「あー来ない夫、待ってる夜、ホント長いよね~」みたいな、どさくさ恨み節であります。優れた女性が、夫にあまり愛されなかったとは、なんとゆう悲劇でしょう。しかし夫にも言い分はあるかと思います。

人も羨む美人妻、しかしその実情は…

平成ノブシコブシの吉村さんも驚くほど、破天荒な求愛で有名な美女をゲットした、有力貴族、藤原兼家。藤原道長のパパですね。しかし新しい妻はあまりにも、世間も男心も知らない深窓の令嬢なのでした。自慢でもあり(トロフィーワイフ?)ちょっと変わった所がもの珍しく、若い頃は頑張って通いましたけど、「ひと月、三十日全部自分の元に通ってほしい」なんて言ってくる「一週間に十日来い、五月みどり系」となると(みどり様のお考えではないのですが。歌詞ですから)、段々通うのが辛くなってきます。しかも政権を得るための闘争に明け暮れているのに、この妻は政治への関心も理解も皆無なままのです。

芸術は不幸から生まれる、たぶんきっと…

決して、藤原道綱の母を、悪く言いたいのではないのです。あまりにも夫婦として、相性の悪い二人でした。しかし、もし道綱の母が別の男性と結婚していたら、「蜻蛉日記」はどうなったのでしょうか?

もし、素敵な殿方に心から愛され、浮気もされなかったら、たぶん日記は、ノロケか、ただの記録になったでしょう。自慢を延々と並べるだけの日記、読むほうも面白くないし、実は書く方もあんまり、興が乗らないのではないでしょうか。家計簿みたいな感じかも。

もし、浮気な別の殿方と結婚したら、日記の筆は冴えるかも知れません。でも愛情と嫉妬は比例するとゆうか、執着から嫉妬は生まれるとゆうか、相手に魅力があればこそだと思うのです。そうゆう点では夫、藤原兼家は大変、魅力的だったのではないでしょうか。読者にとっても、有名な権力者の、政治家としてではなく、妻から見た夫としての素顔を、垣間見れることが、とても興味深く思えます。

そして、前にも少し語らせて頂きましたが、有名な「源氏物語」より先に誕生したこの日記、「源氏物語」に全く影響を与えなかったとは、とうてい考えられません。人を愛する喜びと悲しみ、その困難さを、「蜻蛉日記」は、千年の時を超えてもまだ、読者に訴えかけているのです。

次回は,野式部の私の好きな古典、第 2位を発表します。


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