源氏物語・私の好きな女君BEST10⑥

張り切る近江の君

第5位 近江の君

身分、年齢、容姿、人柄まで、幅広い女性達が登場する源氏物語は、まるで女の百貨店です。その中で僭越ながら「好き」と申しますのは、「なんか気に食わない」みたいな事ではなく、「どのような運命を用意された人であったか」とゆう観点からの、個人的なランキングになっております。

美女・玉鬘の対抗馬として登場!常識度外視で大暴れ!

雑な人物紹介・光源氏の好敵手、頭中将が、光源氏の隠し子として評判の高い玉鬘(実は自分の娘だった)に対抗して「俺も相当遊んだし、探せばどっかにいい姫いんじゃね?」と探し当てた娘、近江の君。しかし庶民に揉まれてのびのび育った姫は、貴族社会に旋風を巻き起こすのでした。

人生ファイルその1・早口はお産の時の僧のせい!だと早口

タイム・イズ・マネーの現代では、話し方がスローだと「倍速してやろうか?」となりますが、平安貴族の姫君には早口は、おはしたないのでした。内大臣となった父親が探し当て、豪華なお屋敷に引き取られ、とまるでシンデレラストーリーですが、現実は甘くはないのでした。

人生ファイルその2・明石の尼君をリスペクト!双六に熱中

そこそこ可愛いのに、やることなすこと貴族社会にそぐわない近江の君。あわよくば入内でも…ともくろむ父親、頭中将は失望を隠せません。暇なので近江の君は、一緒に来た侍女みたいな子と、双六で遊びますが、その様子はまるで、賭場で命を懸ける、おやっさんのような熱中ぶり。一応結婚に夢があるのか、さほどの身分でもないのに光源氏に愛された「明石の君」にあやかり、勝負所で、その名を唱えるのでした、早口で。

人生ファイルその3・文も和歌も、物議をかもす破天荒!

父親、頭中将は、躍起になって探し当てた娘だけど処遇に困って、宮中の娘の元へ行儀見習いと称して押し付けます。そんな雲行きを何となく察した近江の君は、「よっしゃ!こうなったら自分の王子様は自分で探そうじゃん!」と奮起します。光源氏の息子、夕霧に素っ頓狂な歌を送り、またまた周囲の失笑を買うのでした。

とにかく面白い近江の君。大小中の貴族の娘が居並ぶ「源氏物語」の中でも異彩を放っています。本人は至って真面目に一生懸命なのですが、今で言うと女芸人さんのように、確実に笑いを起こしていきます。貴族の教育を受けていない、地方出身の、玉鬘の引き立て役のような存在ですが、見ようによっては、格式ばった貴族社会を嘲笑するような、明るさと自由さが楽しく思えて、とても好きです。紫式部の書く女性のバリエーションの多さには、恐怖すら覚えるほどです。

次回は、「好きな女君、第4位」をお送りします。


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