源氏物語・私の好きな女君BEST10⑤
第6位 空蝉
身分、年齢、容姿、人柄まで、幅広い女性達が登場する源氏物語は、まるで女の百貨店です。その中で僭越ながら「好き」と申しますのは、「なんか気に食わない」みたいな事ではなく、「どのような運命を用意された人であったか」とゆう観点からの、個人的なランキングになっております。
儚くも強く…中流貴族の星、予想外のインパクトで勝負!
雑な人物紹介・空蝉はそこそこの家の娘でしたが父親の死後、仕方なく凄い年上の役人と結婚します。そんなある日、方違え(その方角の運勢が悪いからリセットのためにどっかに泊まる風習)で屋敷に泊まった光源氏の寝所に、強引に連れ去らわれてしまうのです…。
人生ファイルその1・苺狩りの苺に怒られた若き日の光源氏
夢見るセブンティーン、ひかる君。ボーイズトークで恋バナした時、「結構、中流貴族の娘にいい子がいるよ~」と聞いて興味津々。手頃な女がいたよ!とばかりに、中流階級の女「空蝉」と強引に連れ去ります。臣籍とはいえ帝のお子のひかる君。ガールハントも、いちご狩りに来たような気持だったかもしれませんが、思いのほか嫌がられます。結局、関係は持ちますが、「あんた、あたしの事、身分が低いからってどうしてもいいと思ってるわけ?」みたいに言われ、ちょっと新鮮に感じるのでした。
人生ファイルその2・性犯罪者の気配、義理の娘残して遁走
なんとかあの女ともう一度、と思ってたひかる君に好機が訪れます。またも方違えで同じ屋敷に。空蝉は、光源氏の気配を感じ、同じ部屋に寝てる義理の娘(年は大差なし)と上着だけを残して逃げ出すのでした。蝉が殻を残して飛び立つように。それで「空蝉」と命名されたんですね。仕方なくひかる君は、残された、初対面の空蝉の義理の娘に「ずっとあなたが好きでした…」と告白、幸い娘も、美しい光源氏の求愛にノリノリ、関係を結びます。
人生ファイルその3・レア感を出す、頭脳の勝利者、空蝉
空蝉は、作者紫式部を投影した登場人物と言われています。作中で光源氏が、空蝉を盗み見て「大した美人じゃないけど、なんか品があってセンスがあって、良い感じだよね~」と感じるシーンがあります。これは、絶世の美女には生まれつかなった女性にとっては夢のある設定ではないでしょうか。
しかし、空蝉の「己を知っている」とゆう特性が彼女を助けます。「ちょっと興味本位のひかる君と何度も会うよりも、断った方が印象に残るはず…」と思ったかは分かりませんが、ひかる君は、上着残してまで逃げた女性が心に残り、仲立ちをさせていた、空蝉の弟を身代わりに抱いて眠ったほどです。(ちなみに「源氏物語」の中で唯一BL感出た箇所となっております。弟君も義理の娘同様、嫌ではないと良いのですが。)
空蝉は、その後夫に先立たれ、義理の息子に言い寄られて、出家します。そしてそんな空蝉を光源氏は、自分の屋敷に引き取り、面倒を見るのでした。
賢く潔い空蝉に、光源氏は惹かれたのではないでしょうか。弱い立場にありながらも、誇りを持ち、自分の意志で行動する空蝉の人生は、他の登場人物に比べて、幸せなほうだったように思えます。
次回は、「好きな女君、第5位」をお送りします。
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