源氏物語・私の好きな女君BEST10①
第10位 紫の上
身分、年齢、容姿、人柄まで、幅広い女性達が登場する源氏物語は、まるで女の百貨店です。その中で僭越ながら「好き」と申しますのは、「なんか気に食わない」みたいな事ではなく、「どのような運命を用意された人であったか」とゆう観点からの、個人的なランキングになっております。
紫の上。物語の中で、最も美しく聡明な理想の女性…
雑な人物紹介・光源氏が出先で、偶然垣間見たあどけない美少女、紫の上。雀を捕まえようとして失敗した~と泣いて走ってました。光源氏は、「密かに愛する義母、藤壺の女御に凄く似てる~」と驚くのですが、それもそのはず、何と彼女の姪だったと知り、紫の上を引き取り、大切に育て、己の妻とするのでした。
人生ファイルその1・誘拐、監禁、強姦、最初の裏切り…
紫の上は、母親を早くに亡くし、頼みの祖母も亡くなります。彼女が、再婚した父親の元で肩身の狭い思いをするよりは…と考えた光源氏は、誘拐みたいに無許可で、彼女を自分の屋敷に連れて帰りました。年若い者を自分好みに養育する、「光源氏と紫の上」の有名なエピソードです。美しく賢くセンスのいい光源氏を、兄のように無邪気に慕い、すくすく成長する紫の上でしたが、ある夜突然、襲われるのです。色々教育してるんだからそっちの事もなんとなく言い含めておけ!と正直思います。物語では「ある朝、紫の上が起きてこなかった」とあるだけなのですが。そんな紫の上に光源氏は、冷たく接するのでした。
彼女は、今までの光源氏の優しさのすべての目的はこれだったのか…と打ちひしがれたのではないでしょうか。しかし、言いつける相手も、帰る家もない身の上ですから、気を取り直して留まるしかないのでした。
人生ファイルその2・夫が浮気で左遷。左遷先で浮気…
夫、光源氏が上司(帝)の女に手を出したのがばれて、セルフ島流しに。紫の上は、政治的な事情もあるので、そこはそんなに気にしないで、健気に夫不在の屋敷を守ります。しかしなんと夫は、島流し先でまた浮気相手見つけ、その事を手紙で報告してきたのでした。
相当辛いです。この時の相手「明石の君」に対して紫の上は、生涯内心、嫉妬するのでした。
人生ファイルその3・晩年にまさかの裏切り!
やんちゃな光源氏も四十代になり、そろそろ落ち着いて、これからは夫婦二人でしっぽり行けるかな?と思った矢先、夫は異母兄(帝)に泣きつかれて、その娘との結婚を決めてしまうのでした。あれこれ言い訳しながら新妻の所に通う夫を、嫌な顔もせずに見送る紫の上でしたが、「なんかもー出家したい」と思うようになります。しかし夫は妻の出家を決して許しませんでした。そうこうしてる内、病みついて、おまけに夫の元カノの死霊に狙われ、他界してしまうのでした。
光源氏、最愛の女性とされる紫の上ですが、見ようによっては、悲惨に思えます。紫式部は自分と同じ、中流貴族出身の紫の上に、どうしてこのような運命を用意したのか、本当に謎です。
次回は、「好きな女君、第9位」をお送りします。
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