源氏物語・私の好きな女君BEST10⑨
第2位 六条御息所
身分、年齢、容姿、人柄まで、幅広い女性達が登場する源氏物語は、まるで女の百貨店です。その中で僭越ながら「好き」と申しますのは、「なんか気に食わない」みたいな事ではなく、「どのような運命を用意された人であったか」とゆう観点からの、個人的なランキングになっております。
源氏物語の必要悪!最高の美女、ご乱心の事件簿!
雑な人物紹介・早死にした先帝の妃であった六条御息所。身分、知識、美貌、全てを兼ね備えた女性です。若き日の光源氏は若気の至りで、ぐいぐいアプローチします。そして遂に、得難い美女をゲットした歓びも束の間、どんどん通う足は遠のいてしまうのでした。
人生ファイルその①・落とすまでが楽しい、愛されない理由
六条御息所とゆう女性は、現代女性にとっても意味深い存在です。魅力的な男性に愛されるのは、どんな女性なのか。申し分のない女性なのに、恋人が遠のいていく。プライドが高く、打ち解けない、くつろげない。結局、見かけ倒しとゆうか、人も羨む恋人でも、一緒に居て楽しくなければ、誰でも心が離れていくのではと思います。恋愛修行中だった光源氏にとっては「優れているだけじゃ、夢中になれないんだ」と勉強になった存在だったのではないでしょうか。
人生ファイルその②・プライドの権化が、悲劇を招く…
年下の恋人の心が離れていく…ここで「綺麗にあばよ」が出来れば良かったのですが、御息所は貴婦人のたしなみとして、本心を恋人はもとより、侍女にすら明かさないのでした。「せっかくさーこのアタシが相手してやったのにマメに通わないなんて、マジで光源氏、百年早いよね~」なんて大酒飲んでくだを巻き、忘れられれば良かったのですが。平静を装う心の奥では、とんでもないモンスターが増殖されていったのです。
ここで、六条御息所の被害にあった人達を並べてみます。
被害者①夕顔・光源氏をメロメロにした女性、夕顔。外泊して楽しみ、休んでますと「わてとゆうものがありながら、こんなしょーもない女と…恨みまっせ!」と現れ、夕顔の命を奪った女の生霊がいました。この時だけは「私だけど」と名乗らなかったけど、相手を見下す感じとか、限りなくクロに近い容疑者は、六条御息所とされてます。逆に、他にも恋人呪い殺すような女性いたら怖いでしょ。
人生ファイルその③・生霊でも死霊でも、きっちりやります
被害者その②葵の上・光源氏の正妻、葵の上は、夫との不仲を乗り越え、妊娠中だったのでですが、六条御息所の生霊によって殺されてしまいます。この時は、きっちり名乗ったので光源氏もぶったまげました。とはいえ御息所は、葵の上に「車争い」の時に、恥辱を与えられた事件があったので、嫉妬というよりは報復に近いとも取れるかも。
その後、御息所は亡くなったので、光源氏は少し安心して、愛妻、紫の上に「マジ怖い女だった~」と話しましたら「死んだ後に悪く言って、恨むでホンマ」と脅して来たのです、あの世から。
被害者その③女三宮・晩年の光源氏の正妻格となった、女三宮。とある青年貴族に、一方的に不倫関係を持たされ、挙句妊娠、出産をする羽目になりました。悩み深い日々を送ってはいたのですが、パパが来たタイミングで突然、「出家する!」と言い張り、強行したのは、六条御息所の死霊が憑りつき、仕向けたとされています。
被害者その④紫の上・光源氏、最愛の女性、紫の上は病みつき、遂に亡くなってしまいます。六条御息所の死霊の仕業とされています。
しかしこうしてみると、相手にも事情があり、六条御息所のせいにされたようにも思えます。女三宮は悩んでましたし、紫の上も悩んでました。紫の上もせめて本人の希望通り、出家させてもらえたら命は助かったのかも。結局、光源氏が全部悪いんですね。「光源氏は神仏のご加護が強すぎて手出しできないから、周りの女に手出しした」らしいのですが、なんでこんな女たらしのご加護がそんなに強いんですか。
深すぎる「源氏物語」の世界に、ホラーの要素を加えた、六条御息所の功績は計り知れないと思えます。実はこれも、泣き寝入りをするしかなかった当時の女性像を覆した、強い女性と言えるのかも知れません。恋の恨みは、当事者に晴らして欲しかったですけれども。
次回は、いよいよラストの「好きな女君、第1位」をお送りします。
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