今昔とんでも物語【93】孤地獄に落ちた夫


今回はあの世で苦しむ夫を助けた妻の話です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。
苦役を助ける地蔵菩薩(17巻31話より)
雑なストーリー①・昔、ある所に僧がいました。説法を人々に教えてお布施を貰い生活していました。しかし自分はそれほどストイックにはなれずに過ごしてきました。歳も取ってきて僧は重い病になり亡くなりました。
雑なストーリー②・この僧には尼である妻がいました。夫を亡くして三年が経ったある夜、妻は夢を見ました。その夢の中で暗い山道を歩いていました。やがて日が暮れてしまったので岩の下に留まり夜が明けるのを待とうとしました。すると人の泣き声が聞こえてきます。しかもよく聞くとそれは亡き夫の泣き声だったのです。
雑なストーリー③・妻は思わず「ちょっとアンタじゃない!一体どうしたの?」と声を掛けました。夫はみすぼらしい格好で言いました。「僕は僧でありながら戒律を破り償うこともしなかった罪で、ひとり地獄に落とされてしまったんだ。でも生前地蔵菩薩を信心していたから罰の苦役を日に三回、地蔵菩薩様が代わって下さっているんだ。でもそれ以外はずっと罰を受け続けなければならないんだ…」と虚ろな目でポエムを詠み始めました。そこで妻は夢から目覚めました。
雑なストーリー④・妻はすぐに仏師に頼んで地蔵菩薩像を造ってもらいました。そして法華経を写経して像と一緒にお寺に奉納して供養しました。するとその夜、妻の夢に夫が出てきました。今度は立派な着物で尊い風情をして言いました。「君のおかげで罪から許されたよ。地蔵菩薩と法華経のお助けもあり浄土に行けることになったから。ほんとありがと」
雑なストーリー⑤・妻は目が覚めて喜び、地蔵菩薩に深く帰依しました。人々も話を聞いて「奥さん、やり手だなー」と感心しました。
野式部の雑な感想
死んだ悪人は地獄で労働しなくてはならず、生前縁のあった存在が代わりに助けてくれる話、他にもありますが、お地蔵様が一生懸命重労働をしているお姿というのは尊いけれど、ちょっと可愛いと申しますか。もう少しダイレクトにどうにかできないのかと思わなくないのですが、この世の罪はこの世でしか変えられないから残された人間が供養しなければいけないのかもしれません。それにしても妻の行動力に感心します。

次回は「今昔とんでも物語【94】」を、お送りします。名高い文殊様のエピになります。
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