今昔とんでも物語【101】尊い集団詐欺


今回は親を思う息子が一計を案じるお話です。平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」の中から、特に心に残る「とんでもない」話をご紹介していきます。
摂津の守の出家(19巻4話より)
雑なストーリー①・昔、ある天皇の御代に武士がおりました。家柄も良く天皇からも信頼され高い地位を得ました。そんな武士も寄る年波を感じ、隠居して屋敷で暮らしていました。この武士には子供が沢山いましたが、その中に一人僧になった息子がおりました。息子は父親の罪深さを心配していました。
雑なストーリー②・息子は父親の屋敷に行った帰りに、偉い僧を訪ねて言いました。「父親の暮らしぶりを見て恐ろしくなりました。昔はもとより今も殺生が酷くて。動物や魚、人間にすら平気で傷つけたり殺したりするのです。罪を償うために出家して欲しいのですが自分から言ってもダメそうですので、偉い方から勧めていただけませんか」とお願いすると偉い僧は「そういう人を出家に導くことが出来ればとっても尊いねっ。私一人じゃ心細いからお友達連れて君のお父さんの屋敷に行くよ。君は先に行って待っててね」と請け負ってくれました。
雑なストーリー③・偉い僧はさっそく偉いお友達の僧二人にお願いして、武士の息子である僧に会いに来た、というテイで屋敷を訪れました。偉い僧が三人も来たと知り武士は大喜びです。すかさず僧の息子が「こんなレアキャラ僧が集まるとは超ラッキーですから尊いお話など聞かせて頂きましょう」と勧めます。武士は「そりゃいいね!」と喜び、人に仏の絵を描かせたり仏像を造らせたり写経をさせました。偉い僧達を引き留めておもてなししている内にそれらが出来上がりました。するとそれらを並べて尊い説教をしてもらっている内に武士は出家したい!と言い出しました。
雑なストーリー④・僧たちは目的通りになりましたが「思いつきの出家を全う出来るようにもう少し信心を強くしてもらおう」と思いました。武士が出家した翌日、僧達は音楽ができる人たちを雇い菩薩のコスチュームを着せて音楽を奏でて通り過ぎてもらいました。出家した武士は本当にスピリチュアルな光景が見られたととても感動して、今までの罪を償うためにお堂を建立する!と決めました。
人々は「息子も偉いけど尊い僧達がお勧めしたからこそ、あれほどの悪人が急に信心を起こし出家したんでしょうね」と話し合いました。
野式部の雑な感想
いいお話なんですが珍しいですよね。お坊さんが「出家大作戦」のプランを練るというのは。仏門へのコーディネートと言いますか。コーディネートはこうでねーと!です。

次回は「今昔とんでも物語【102】」を、お送りします。鹿とお母さんの話です。
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