今昔とんでも物語㊳「鬼宅に1泊」

平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回は、情報量が多すぎる怖い話です。

とにかく走った僧

雑なストーリー①・昔、三人の修行僧が旅をしていました。ある時、何故か道に迷い山奥に入って行ってしまいました。さまよった末、一軒の屋敷を見つけ、帰る道を教えて貰おうと門を叩くと、強面の年上らしき僧が出てきて、中に入れてもらえて食事も出されました。すると強面僧は強面で、家の者(こちらも僧)に「あれ持ってこい」と命令するのでした。
雑なストーリー②・「あれ」とは鞭と馬の手綱でした。強面僧の指示で旅の僧の1人が家の者に掴まれて庭へ引きずり出されます。そして鞭で打ち据えられてしまいます。仲間の僧も恐怖のあまり何もできません。打たれて倒れた僧を家の者が引き起こすと、なんと、僧は馬に変わってしまいました。そして手綱で引っ張られていきました。
雑なストーリー③・さらに同じ手順でもう1人の僧も馬にされてしまいます。最後の僧が「次は俺の番だ」と恐れおののいておりますと、なぜか強面僧は「今日はここまで」と言います。ただ一人残った僧は「どうせ殺されるなら逃げてみよう!」と夜更けに根性出して屋敷から逃げ出しました。
雑なストーリー④・ひたすら走るとまた家があり、門に女性が立っていました。僧が今までの恐怖体験を話しますと、女性は「実は私はあそこの家の者だったのよ。今まで恐ろしい事が繰り返されてきたけど、せめてあなただけは助けたい。もう少し先の家に私の妹が住んでて、あなたを助けてくれるから」と、妹に手紙を書いて持たせてくれます。
雑なストーリー⑤・再び走りますとまた屋敷がありました。先程の女性の妹の家でした。手紙を読んだその家の女性は「私も姉同様あなたを助けたいと思います。でもこれからこの家には恐ろしい事が起こるけど、じっとしていて下さい」と僧を家の奥に隠します。しばらくすると異様な雰囲気と生臭い匂いがして誰かがやって来ます。家の女性とおしゃべりしたり食事したり終いには交わり始め、僧は「この家は鬼の家でさっきの女性は鬼の妻だったんだ」と思います。

雑なストーリー⑥・しばらくすると家の女性が来て、「もう大丈夫。普通は助からない所を助けたんだから、この話ベラベラ喋んないでよね」と帰り道を教えてくれます。僧はまたひたすら走り人里へたどり着き、一命を取り留めたのでした。ただ「こんなとんでもない経験談、黙っておられるかい」とベラベラ喋りました。人々は「いくら修行とはいえ不慣れな所に行くもんじゃないね」と話し合いました。

野式部の雑な感想

鞭で打ち据えられた人間が馬になるとは、身の毛もよだつ恐ろしさですが、何でかはわかりません。しかも一応僧スタイルで僧に危害を加えるとゆう。そして素朴に「女性2人必要?」と思います。最初に会うのが鬼の嫁で良かったのでは。更に鬼夫婦の交わりを黙って聞かされるとゆう、何の罰ゲームですか。この妻もね、気まずかったと思いますよ。しかし鬼から助けるためにかくまったのか、強面僧から助けるためなのか、謎は深まります。

次回は「今昔とんでも物語」㊴を、お送りします。百鬼夜行を見ちゃった若様のお話です。

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