今昔とんでも物語㉛「猫が怖い男」

平安時代末期に編纂された説話集、「今昔物語」には、沢山のお話があります。かなり自由な、その中でも、特に心に残る「とんでもない」と思える話をご紹介していきたいと思います。今回は、猫にまつわるお話です。

天国か地獄か⁈猫尽くし猫ざんまい‼

雑なストーリー①・昔、ある地方都市に、「大夫」とゆう役職の男がいました。何故かこの男は猫を怖がりました。ですからアホな若者などは、猫を捕まえてきては、この大夫が歩いてくると見せます。すると大夫は用事がその先にあっても、来た道を引き返してしまうほど、猫を怖がるのでした。
雑なストーリー②・これだけ聞くと、吞気に思えますがこの大夫、私有の田畑を沢山持っていました。しかし、ズルをしてその田畑の税を納めません。ですから、その土地の国司は、何とか大夫に納税させたいと悩んでいました。とはいえ身分もあり、そこそこの存在である大夫を「金払えコノヤロー」と、交番に突き出すわけにもいきません。

ある時、国司が妙案を思いついた時に、なんと大夫自ら、国司の屋敷にやって来たのでした。
雑なストーリー③・国司は「秘密の話があるから」と、大夫を四方が戸になっている小さな部屋に招き入れ言いました。「僕のここでの任期ももう終わりだから、お宅に税を納めてもらってスッキリして旅立ちたいんだよね」しかし大夫もさる者、のらりくらりと、もっともらしい言葉で乗り切ろうとするので、いよいよ怒った国司は「アレ、持ってこい」と家の者に銘じます。

雑なストーリー④・すると国司の家来衆が、大きな猫を手に持ち四方からにじり寄ります。ついに猫を放ちますと、猫は好き放題動いて、大夫は狭い空間に猫と閉じ込められ、顔面蒼白です。震える手で「税払う」と書かされ、きっちり税を納める羽目になったのでした。

野式部の雑な感想

空前の猫ブームである昨今ですが、古代より犬と共に、人類の友として歩んできた猫を、これほど恐れる人間も珍しいです。この話はたまたま、猫嫌いが未納税者だったから、脅しに使われても仕方ないとこあるのですが、猫が苦手な良い人が、その弱点を悪用され、脅迫されたらお気の毒です。「前世はネズミかよ!」と、小ばかにされた大夫ですが、猫アレルギーがあったのでは、と思ったりします。こうゆう、前世を持ち出さなければ、理解に苦しむ人間の不思議を集めたのが「今昔物語」の面白味だったりします。胡桃を食べて溶ける人とか。

次回は「今昔とんでも物語」㉜を、お送りします。「鬼」にまつわるお話をシリーズを始めたいと思います。

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